比嘉、体重超過で王座剥奪 日本人初で具志堅会長「最大の責任」

 「ボクシング・WBC世界フライ級タイトルマッチ」(15日、横浜アリーナ)

 前日計量が14日、都内で行われ、WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(22)=白井・具志堅スポーツ=は1回目でリミットの50・8キロを超える51・7キロで、再計量はせず、3度目の防衛戦を前に、体重超過で王座剥奪となった。日本ボクシングコミッション(JBC)によると、日本選手の世界戦での計量失敗は初。挑戦者のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)は50・5キロで1回でパスした。

 誰もが目を疑った。制限体重を900グラムも上回る体重超過。生気を失った比嘉は言葉を発することなく、具志堅会長に付き添われ計量会場から消えた。2時間の猶予を与えられたが、約1時間半後、再び姿を現した同会長が再計量断念を申し出たことで王座剥奪が決まった。

 具志堅会長は「重大なことが起こってしまった。本当に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。日本人王者の王座剥奪は史上初。比嘉は必死に減量を試みたというが、「汗が一つも出ません」と同会長は苦渋の表情で明かした。

 予兆はあった。比嘉の減量苦は毎試合のように叫ばれており、フライ級にとどまることは限界に達していた。胸囲97センチは20キロ以上重いミドル級の村田(98・5センチ)と1・5センチ差しかない。軽量級では規格外の筋肉量を誇るため、過酷な減量と向き合うことは宿命となり、王座を奪取した17年5月には減量苦からパニック障害も引き起こした。

 2月に地元沖縄で行ったV2戦からわずか2カ月という試合間隔の短さも減量に影響を及ぼしたとみられ、具志堅会長は「最終的に私に最大の責任がある」と、自らの見通しの甘さも認めた。

 WBCや両陣営の意向により試合は決行される方向だが、JBCは比嘉に対し、15日午前8時に当日計量を課し、制限体重から10ポンド(約4・5キロ)プラスの55・3キロを超えた場合などは試合を中止すると決めた。

 繰り返される体重超過にJBCは厳罰化の流れを打ち出し、規則整備の作業を進めている。安河内事務局長は「流れを止めるには、意識改革よりペナルティーを科した方が早い」との見解を示した。新たに制定される規定が比嘉に適用されれば、長期間の出場停止処分もあり得るという。

 比嘉が勝つか引き分けなら王座は空位のまま。KOで勝てば16試合連続KO勝利の日本新記録は認定されるが、ベルトは戻ってこない。日本ボクシング界に拭い去れない汚点を残した。

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