仲村、飛田から世界へ!内山と対戦熱望

 日本屈指の歴史ある「遊郭」から世界王者を目指すボクサーがいる。12年12月、大阪市西成区の通称「飛田新地」のど真ん中に開かれた渥美ジム。同ジムのエースでIBFスーパーフェザー級8位の仲村正男だ。

 各部屋の入り口で、色とりどりの華やかな衣装に身を包み男性客を待つ美女たち。仲村は、その通りを客引きの女性らから応援されながら、ロードワークに出かける日々だ。

 「ポスターを貼ってくれたり、この地区全体で応援してくれる。この町から世界王者になる。ミスター西成になります」。

 王者挑戦なら試合会場で「飛田新地」の横断幕。王者ベルトを巻けば、飛田新地で“凱旋パレード”を行うプランを陣営は描く。

 夢の実現へ十分に、機は熟した。仲村はプロ18戦17勝1敗、17KO。勝利はすべてKOで飾ってきたハードパンチャーだ。

 10年12月にはOPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。だが11年5月に初防衛に失敗した。試合前にWBA同級王者・内山高志(ワタナベ)へ挑戦オファーを出していたが、このプロ唯一の黒星で白紙となった。

 常に「内山戦を前提」とし、仲村は敗戦からはい上がった。「どうやったら自分は進化できるのか。それだけを考えてやっている。限界まで自分を追い込んできた」。練習では胸に心拍計を付ける。マラソン選手並みの心拍数200を目指し、「世界を見据えて」スタミナを強化した。

 12年5月の再起戦から5戦5勝、5KO。8度防衛中の内山が、あとは挑戦を受けるかだ。元日本ジュニアミドル級王者・大東旭会長代行は「十分に世界の舞台に立てる力はある」と太鼓判を押す。次戦は今夏、東京で世界前哨戦を希望する。その場で実力を全国に証明し、内山陣営に対戦を訴えるつもりだ。

 昨年大みそかの内山の防衛戦はテレビで会長代行とともに繰り返し映像で見た。「この人のスキはどこなのか。自分ならこう攻める、守るとイメージした。自分と戦ったら判定はない」と、KOイメージを描いた。

 3日からは和歌山・白浜で5日間のキャンプを張る。ゴルフ場を朝、夕ともに20キロ走。会長代行が現役時代、日本王座を10度防衛した際に行った練習メニューで計200キロを走破し足腰を鍛える。

 興国高出身で仲村の1学年後輩には世界2階級王者・井岡一翔、元WBA世界ミニマム級王者・宮崎亮=ともに井岡=がいる。「うれしいけど、歯がゆい気持ちはある」と言うのが正直な気持ちだ。

 後輩ながら一翔には練習内容を聞き、参考にする。今でも会食しするなど、親交は深い。「早く王者になって下さい。一緒に世界チャンプになりましょう」と、エールを送られてきた。

 もう足踏みはできない。「世界で1番になりたいと思ってずーっとやってきた。それをかなえるのは今しかない。生活のすべてをボクシングに注ぎ込む」。男の欲望渦巻く地で、どこまでもストイックな26歳は言い切った。

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