江藤が王座奪取“鬼門”タイで初勝利

 「WBA世界フライ級暫定王座戦」(1日、バンコク)

 WBA世界フライ級7位の江藤光喜(25)=白井・具志堅スポーツ=が、暫定王者のコンパヤック・ポープラムック(タイ)に3‐0で判定勝ちし、世界初挑戦で暫定王座を獲得。元世界王者で所属ジムの具志堅用高会長が育てた初の男子世界王者となった。江藤の通算戦績は17戦14勝(10KO)2敗1分け。日本ボクシングコミッションは、乱立するWBA暫定王者について「正当な理由がない限り認めない」方針で、江藤を国内で王者として認めるかは今後検討するとしている。

 1963年にファイティング原田がバンコクで防衛に失敗して以来、日本人選手が18戦17敗1分けと世界戦で一度も勝っていないタイの地で、江藤が暫定王座とはいえ大金星を挙げた。偉業達成に「技術は関係なしに最後まであきらめないと思った。タイの試合を一度経験しているのでそれがよかった」と涙を流して感情を爆発させた。

 「江藤3兄弟」の長男として売り出し中の江藤は沖縄出身。これまで国内外のタイトル獲得実績はなく、元WBC世界ライトフライ級王者でもある、コンパヤックとの経験の差は歴然だと思われたが、序盤から果敢に攻めた。

 気温34度という厳しい条件にも「沖縄出身なので苦にならなかった。打ち合って負けたら、負けだ」とはね返し、相手の一発に盛り上がるアウェーの雰囲気にも動じなかった。中盤こそ小柄な王者に手を焼いた。初回にスリップと判定されたが、左フックで倒すなど好スタートを切り、2回以降もコンパヤックのボディー攻めに一歩も退かず応戦。猛ラッシュに出た最終12回に右フックから左フックをクリーンヒットさせて連打で勝利を決定づけるダウンを奪う。スコアは114‐113が2人、116‐111が1人で江藤を支持した。

 今後は正規王者への道を歩む。「絶対(正規の)世界王者になってみせる。支えてくれた関係者の一人一人にお礼を言いたい」と夢を描いた。

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