憧れの存在を前にしても、もうただ見上げるだけではなかった。
「こうやって勝つことができてすごくうれしいですし、成長した姿っていうのは見せることはできたと思います」
その言葉には、敬意だけではなく、確かな手応えがにじんでいた。
8日に行われた神戸ストークス94-86千葉ジェッツ。8000人超のブースターで埋まった本拠地ジーライオンアリーナ神戸での平日ナイターは、神戸の小川麻斗(25)にとって特別な一戦だった。
相手には、2年前まで同じユニホームを着て戦った富樫勇樹(33)がいた。
「すごく楽しみにしていたゲーム」
今の自分がどこまで近づけたのかを確かめる時間でもあった。
思わず笑み
ともにベンチスタート。第1Q途中、富樫が投入されてから3分後、小川もコートへ向かった。「懐かしさを感じた」というマッチアップ。身体を寄せた際、思わず笑みがこぼれた。
ただ、感慨に浸る時間はほんの一瞬。
相手は日本を代表するPG。ターンの鋭さ、間合いの取り方、判断力。触れてもいないのに振り回されるようにマークを剥がされる場面も。守る側に回った小川は、改めて富樫の異次元さを感じた。
「ユウキさんのムーブというか、ここ来るなっていうのが、思っていたのと逆をつかれたりとか、先読みしても裏をつかれる。本当にすごいなと」
かつて追いかけた背中は、数年たった今もなお、大きかった。







