心臓血管外科実習で手術助手
手術室で手洗いを済ませ、滅菌ガウンと手袋を身に着けた。心臓血管外科の実習で、私は初めて手術台に横たわる患者さんを前に手術助手として執刀医の指示を受け動く心臓を支えるように、そっと手を添えた。それは思っていたよりも、ずっと小さかった。たかだか握り拳ほどの大きさの臓器が、全身に血液を送り、その人の毎日を支える。
教科書で解剖学の名称として学び、解剖学実習では止まった状態でしか見たことのなかった心臓が、その瞬間、初めて命そのものとして目の前に現れた。温かく規則正しく刻まれる鼓動は、教科書や画像では決して伝わらない命の存在だった。
その神秘に、私は息を呑(の)み、言葉を失った。





