鳥谷敬×狩野恵輔氏(1)虎の鉄人が引き際語った!
昨季限りで現役を引退し、今年からデイリースポーツ評論家として健筆を振るう狩野恵輔氏(35)が、阪神・鳥谷敬内野手(36)に初インタビューを行った。現役時代、苦楽をともにしてきた狩野氏に対し、鳥谷が明かしたのは「引き際の美学」-。気持ちが切れた時が身を引く時と語ったその理由とは?順調なら今年、2000試合連続出場の大台に到達し、2020年には衣笠氏の記録を更新することになる虎の鉄人が、その胸中を激白した。
◇ ◇
狩野氏(以下狩野)「違和感、たっぷりでしょ?」
鳥谷「いや、お前がな(笑)」
狩野「きょうは1時間ちょっとくらい、お願いします!!」
鳥谷(両手を狭めて“巻きで”のジェスチャーを繰り出し)「……」
狩野「寒いですけど、今年のキャンプはどうですか?」
鳥谷「いやまぁ、順調に。とりあえず体も動くし。違和感なく動けているのが一番。とにかく無理せずという感じでやってます」
狩野「ですよね。もう37歳ですし」
鳥谷「37(歳)だから…油断すると、すぐケガしちゃうから(笑)」
狩野「去年、2000安打を達成して、今年の目標を挙げるとすれば、どういうところになってきますか?」
鳥谷「やっぱり去年1年間、試合に出られたっていうことはもう一回、自分としても自信になりましたし、それを続けていくためには自分の与えられたポジションをしっかりと守らないといけない。今はサードというポジションがあるので、そこをしっかり守っていきたいなと思ってます」
狩野「2000という数字でいくと、(現在1895試合で継続中の)連続試合出場記録が今年、2000試合の大台に到達する。2020年には開幕35試合目で衣笠さんの記録を超えることになる。数字に興味がないことは知っていますけど、そこまでやりたいみたいなことはあるんですか?」
鳥谷「いや~、もう変な言い方だけど、あとはどう辞めていくかっていう年齢になってきたので。そういう意味では自分の気持ちが続く限りは、体というより、自分の気持ちの方がね。準備をしっかりできるという気持ちを持ち続けることができれば、長くやりたいなと思うし」
狩野「確かに」
鳥谷「それができなかったら辞めなきゃいけないのかなと。だから、あまり先を見ていたら辞めたくなってきちゃう(笑)。先を見ずに、毎年毎年やっていて、気づいたらそうなれたらいいなというのはありますけど…。もしプロに入った時に2000安打を見ていたら、途中で無理だなと思ったかもしれない。それを見ないでここまで来たから、2000安打というものにつながったと思うので。2020年とか見ていたら…明日にでも辞めたくなっちゃうかもしれないよ(笑)」
狩野「僕はそういう姿を見たいですけどね(笑)。じゃあ自分が現役を終わっていく想像の中で例えば、きれいに辞めたいってことですか?ボロボロになって辞めるというよりは?」
鳥谷「きれいにというか、体というより気持ちの方が先に引退という形になる気がするので。ボロボロになる前に、まず気持ちが引退に向いてしまうと思う。そこが自分の辞め時なのかなと思っているので。ボロボロになるまでやりたくはないし、やれたらやれたでいいことかなと思うけど…気持ちの引退が先かなと思うよね」
狩野「まだまだやってもらわないと困るんですけど」
鳥谷「いやいや、たくさん若い選手もいるし」
狩野「でも、負けないって自信も絶対にあるでしょ?」
鳥谷「まあ、今年15年目だし。1年目、2年目の選手には負けたくないという気持ちは当然、あるし」(以下、2に続く)