【にしたん社長の人生相談 お悩みクリニック】ギャンブル依存症を克服するには 今はスマホで簡単に
にしたんクリニックなどを展開するエクスコムグローバル株式会社の西村誠司社長があなたの悩みに答えます。
【相談】 50代会社員です。妻、子供2人がいます。何度もやめようと思いながらやめられない、ギャンブル依存についてのご相談です。20代の時にパチンコ、競馬を覚え、今は競輪、ボートレース、地方競馬、オートレースと全ての公営競技に手を出しています。今はスマホで簡単に賭けることができ、時間があれば賭けてしまいます。負けてやめようと思っても次の日には賭けてしまいます。実は妻に内緒で170万円ほどの借金があります。カウンセリングにも行ったのですが、結局は自分の意志の弱さだと思っています。克服するにはどうしたら良いでしょうか。
【回答】 ご相談ありがとうございます。20代から続いてきたギャンブル習慣が今もやめられず、スマホで気軽に賭けられる環境が依存に拍車をかけてしまっている。さらに、ご家族に内緒の借金が170万円あるとのこと。これは、日常生活と精神面の両方において、相当な負担を抱えておられるのだと思います。
まずお伝えしたいのは、「意志が弱いから依存している」のではないということです。これは自分の人格や能力の問題ではなく、脳が報酬系に支配される「依存の構造」そのものです。つまり、自己責任だけで解決しようとするのは非常に難しい。それは、企業経営でもまったく同じです。仕組みによって動かされている課題に対しては、意志ではなく「仕組み」で対抗する必要がある。私はそう考えています。この問題を本気で断ち切るためには、いくつかの視点が必要です。
まずひとつは、環境を変えることです。今、スマホでの投票や閲覧が容易である限り、あなたは常に「賭ける機会」と隣り合わせにいます。これは、アルコール依存の方が家に常にお酒を置いているのと同じ状態です。まずはアプリの削除、利用サイトのブロック、使える時間や空間を制限する。それだけでも“衝動の立ち上がり”に歯止めがかかります。
次に、自分の行動を「見える化」すること。支出、勝敗、利用時間を日記のように毎日記録してください。誰に見せるわけでもなく、自分だけで良い。依存症は無自覚に行動を正当化してしまう特徴があります。数字と向き合うことは、自分を冷静に見る第一歩になります。私自身、経営においても状況が悪いときほど「数値を直視する」ことを意識しています。
そして一番大事なのは、「孤立しないこと」です。依存から抜け出せない人の多くは、「こんなこと人には言えない」と思い込んで問題を内に抱え続けています。でも、本当の意味での再起には「誰かに知られること」から始まります。ご家族への開示も、非常に勇気が要ることだと思います。ただ、関係を守るためにも、借金の存在を知られる前に、自分から打ち明ける方がはるかに信頼を得られます。
カウンセリングが合わなかったというお話もありましたが、支援の場は一つではありません。自治体やNPO、オンラインの自助グループなど、様々な入り口があります。完全にやめようとする前に、「やめる環境」を先に整えること。これが、実現可能な目標をつくるための第一段階です。あなたは、ご家族を持ち、仕事もされている。つまり、守るべきものがあるということです。ギャンブルの先にそれを見失ってしまう前に、今、この相談を寄せてくださった勇気を次の行動につなげてください。
人生を立て直すのに遅すぎるということはありません。一度崩したものを取り戻すことが、より強い土台になります。
踏み出す価値は、間違いなくあります。頑張ってください!
◆西村誠司(にしむら・せいじ) 1970年生まれ、愛知県出身。「イモトのWiFi」「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル株式会社代表取締役社長。名古屋市立大学を卒業後、外資系コンサルティング会社に入社。2年で退職して25歳で起業、現在年商333億円に成長。TikTokフォロワー数7万人。