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魔球を武器に新人王を獲ったカープの右腕 他球団の誘い断り、いまは故郷・徳島で体育施設の館長に 

 かつて広島カープに在籍し、投手として活躍した川端順さん(61)が故郷の徳島に帰り、松茂町体育施設の館長として第二の人生を歩んでいる。目標は「徳島ファンを増やす」こと。野球を通して地域の発展に貢献したいと張り切っている。

■徳島で何かをしたかった

 鳴門市と徳島市に挟まれた小さな町。板野郡松茂町。川端さんの出身地だ。

 このイリコのおいしい海辺の田舎町で逞しく育ち、野球界でひと旗揚げて戻ってきた。今度は郷里にお返しをする番だという。

 「プロ野球に関しては年齢的にもう十分という思い。他球団からも誘いがあったんですが、それより徳島で何かをしたかった」

 カープを離れたのは2017年。投手として入団し、現役を引退した後は投手コーチ、さらにチーム作りの基盤となる編成の仕事についた。野球に関する多くの知識を蓄える傍ら、球団のあり方も自然な形で学習。それらの知識が今に生きているという。

 川端さんは2つの体育館と運動公園などを収容する体育施設の館長だ。この仕事に加えて野球の技術指導や講演なども積極的に行っている。

 野球に関しては教育委員会と県の高野連、中学軟式野球連盟の依頼を受けた活動だから“公的な仕事”でもある。

 「ここ何年か、徳島県の野球レベルが下がってきているんで、自分の手で引き上げたいんですよ」

 指導者を相手にした講習会では「未来のプロ野球をつくるのは皆さんです」と訴える。

 投手ならギクシャクした変則的なフォームは、骨格が固まるにつれ矯正がきかなくなるから推奨しない。プロの世界には「短所は長所を殺してしまう」との考えもあるからだ。

 プロの道に進むのはごく一部だが、投手はプロアマを問わず、オーソドックスなタイプの方が「長所を伸ばしやすく育てやすい」と話す。

 阪神の藤浪はカープの指名優先リストに入っていなかった。それは利き腕が、背中の後方にまで回ることで生まれる、横振りの回転が敬遠されたからだった。

■徳島の政財界の人たちに講演

 最近、徳島にもカープファンが増え、広島特有の独立採算型の球団経営に興味を示す経営者も少なくない。

 現在は新型コロナウイルスの影響で途絶えがちだが、徳島の政財界の人たちを前に講演することがある。その際、こんな質問が飛ぶこともあるようだ。

 「なぜカープ女子が多い?」「なぜグッズが売れる?」

 そのたびに、川端さんは「女性へのサービス」を大事にするカープの経営姿勢と、松田元オーナーから授かった「変化に強い者が生き残る」という話を紹介している。

 厳しい世界で最後に残るのは、頭のいい者でも力の強い者でもない。柔軟な思考の持ち主だ。編成会議でそう教えられ、常に5年先を見据えたチーム作りを描いていた。

 広島での34年間では、いろんなことを学んだ。その経験を生かし、残りの人生を故郷のために使い切りたいと思っている。

 徳島も人口減少に悩まされ、県外へ流出した人が戻ってくることは少ない。

 「県の人口は70数万人しかいないし、減少率でも都道府県別で高い方。それだけに徳島を愛するファンを増やして発展させたい。機会あるごとに、カープの企業努力を学んで参考にしてほしいと呼びかけてますよ」

 スーツからトレーニングウエアへ、ベンツから軽四へ。身軽になった川端さんは毎日、時間も忘れて忙しく動き回っている。

(まいどなニュース/デイリースポーツ・宮田 匡二)

◆川端順(かわばた・じゅん)1960年3月19日生まれ。徳島県出身。投手。鳴門高-法大-東芝を経て83年度ドラフトで広島に1位入団。3度のリーグ優勝に貢献した。代名詞となったパームの変形“バタボール”を操り新人王と最高勝率のタイトルを獲得。92年の現役引退後は投手コーチ、編成グループ長を歴任し2017年に退団した。通算成績は46勝26敗19S。防御率3.00。現在は岡田企画に在籍し、指定管理者として松茂町体育施設の館長を務めている。

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