大阪桐蔭初Vの4番で元阪神ドラ1の萩原誠さん 野球少年支える整体院開業

整体院を独立開業した萩原誠氏=奈良市
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 後輩たちが快挙を達成した記念すべき年に新たなスタートを切った。「OBとして今年はメチャクチャうれしい年。刺激を受けました」。大阪桐蔭高の甲子園初出場初優勝時の4番だった元阪神の萩原誠さん(45)は晴れやかな表情を見せた。

 母校が史上初となる2度目の春夏連覇を達成した翌9月、奈良市内で「整体院誠」を開業。院内の壁には萩原さんの野球人生の証しである大阪桐蔭、阪神、近鉄のユニホームが飾られている。

 91年のドラフトで阪神から1位指名を受け、掛布雅之氏の背番号31を継承したが、10年間のプロ生活で思うような結果を残すことはできなかった。

 引退後、迷わず人の体をケアする道へと進んだのはプロ7年目の体験がきっかけ。のちに金本知憲、松井秀喜氏のパーソナルトレーナーとしても注目を集める小波津祐一氏の治療を受けて、ずっと悩まされていた肩肘の痛みから解放された。「ストレスなくスローイングができるようになり、野球が楽しくなった。僕もこうなりたいと思ったんです」

 専門学校で3年間学び国家資格の柔道整復師免許も取得。自身の名前を冠した整骨院の雇われ院長を務めるなど安定した生活を送っていたが、3年前に一念発起。あこがれだった小波津氏に師事して神経筋無痛療法を学び「認定院」として独り立ちした。

 自身の整体院では野球肘、野球肩の専門ケアにこだわる。治療だけでなく再発防止や予防の観点から正しい体の使い方を指南するパーソナルトレーニングにも力を入れる。

 「プロでの経験則だけじゃなく、いろんな治療法を模索して勉強もしてきた。それが僕の強み。悩んでる子どもたちに正しい情報を伝えていきたいじゃないですか」。現役時代、寡黙な印象だった萩原さんだが夢を語る口調は熱い。

 夏の甲子園を沸かせた母校の後輩たちはドラフトを目前に控える。「僕みたいにプロで中途半端だと社会に出て苦労するから、みんな成功してほしい」と願うが、自身の苦労に関しては「働きながら勉強してた専門学校のときが一番苦しかった。ええ大人が『イビキかいてんの誰や!』って怒られて」と笑いに変える。

 「すべてがいい経験。この仕事につけて本当に良かった。引退してからの15年間は下地作り。ちょうど今がプロ1年目のつもり。これからです」。栄光も挫折も味わった野球人は、悩める野球少年たちを支える第2の人生に踏み出したばかりだ。(デイリースポーツ・若林みどり)

 ◆萩原 誠(はぎわら・まこと)1973年4月6日生まれ、大阪府大東市出身。大阪桐蔭では春夏連続で甲子園に出場。ともに初出場で春8強、夏は優勝。91年度ドラフト1位で阪神入団。98年に近鉄に移籍。プロ通算124試合で打率・192、4本塁打、14打点。引退後は柔道整復師の資格を生かして活躍。18年9月から「整体院誠」(電話0742・81・9950)を開業。

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