「タミフルは危険」ではなかった!けいれんや混乱状態、幻覚はインフルエンザの症状そのもの→大規模調査で判明
20年ほど前、インフルエンザの特効薬「タミフル」(一般名「オセルタミビル」)が世間で普及し始めた当時、タミフルの服用によって、子どもの重篤な神経精神症状を引き起こす可能性が指摘されました。しかし実際のところ原因は薬ではなく、インフルエンザの症状そのものにあることが、このほど大規模な追跡調査で証明されました。
インフルエンザに罹患した子どもに処方される抗ウイルス薬が、けいれんや混乱状態、幻覚といった神経精神症状の原因なのか、それとも感染そのものが引き起こしているのか。この疑問は長年にわたって医療従事者と患者の家族を悩ませてきました。
2006年に「タミフル」を服用した子どもに神経精神系の異常が報告されたことから、米食品医薬品局(FDA)は警告表示の変更を余儀なくされました。しかし、これらの警告は症例報告に基づくものであり、因果関係は明らかにされていませんでした。
こうしたなか「神経精神系の異常と関連しているのは抗インフルエンザ薬ではなく、インフルエンザそのものであることを実証しました」とモンロー・カレル・ジュニア・ヴァンダービルト大学小児病院の助教授ジェームズ・アントゥーン医師が報告したのです。さらに「むしろオセルタミビルには、神経精神系事象を予防する効果がある」とも。
彼ら研究チームは2016年から20年までに、5~17歳の70万人近いインフルエンザ患者を精密に追跡調査し、多くのデータを解析した結果、インフルエンザに罹患した子どもに神経精神系の異常が生じる割合はオセルタミビルの使用有無に関係はなく、またオセルタミビルで治療した患者では、神経精神系事象の発生率が50%以上減少していました。これらの報告はインフルエンザ治療薬の安全性を明確にし、医療従事者や治療を受ける子供や保護者を安心させるに充分な研究結果だと言って良いと思います。
◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。
