困っている人にためらわず手を差し伸べる気持ち「道端に人が倒れているので、救助のために緊急停車をします」
「究極の選択」をあっさりとされた車掌さんの話をネットニュースで見ました。私が同じ立場であれば絶対にできないのでは、と思いました。私も含めた医師だけではなく、日本人全体でこんな優しさがあれば国全体がもっとやわらかい、あたたかい感じになっていくのになぁと感じました。
場所は東北です。電車を運転しているときに道に人が倒れているのを車掌さんが、発見されたようです。車掌さんは、すぐに車内放送で「道端に人が倒れているので、救助のために緊急停車をします!!」と放送されたようです。
おそらく、放送を聞いた乗客のみなさんで、その人を電車まで運んで病院まで搬送されたのだと思います。倒れている人を見た時に「大丈夫ですか?」と反射的に思い、即、電車を停車させた英断には脱帽です。都会との違いはあるにしても、電車を止めて人を救うのを手助けすることは並大抵の決断力ではできないでしょう。
もちろん、この行動には賛否があると思います。私なら、携帯電話から救急車を要請していると思います。電車で搬送するよりも救急車を直接呼んだ方が早くて、安全ではないのか?などの意見もあるでしょう。しかしながら、困った人に対して、ためらわず手を差し伸べる気持ちが非常に大切なのは間違いありません。改めて心に刻みました。
話のスケールは違いますが、電車の中で明らかに身体が不自由な方がいるのに、知らないふりをして座っている日本人もいる中で、爪のあかでも煎じて飲まないといけないと、考えさせられもしました。ちなみに私は空いている電車であれば真っ先に優先座席に座って、身体の不自由な方の席を確保するようにしています。あしからず。
◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。デイリースポーツHPで「町医者の独り言」を連載中。
