発熱外来にコロナよりインフルが多い理由 現役医師が推察

 私のクリニックはコロナ禍の初期から「発熱外来」を続けています。駐車場に停めた車まで私が検査キットを持って走り、鼻に綿棒を突っ込んで診察室に持って上がって調べます。いわゆる「ドライブスルー」です。ほとんど毎日予約いっぱいですが、感染の状況がリアルタイムで判ります。そしてここ最近の傾向は「インフルエンザA型」の患者さんが新型コロナを大きく上回っています。

 新型コロナは第7波を最後に全数把握のシステムがなくなりました。さらに日本人のほとんどの方でワクチン、もしくは実際の感染によりある程度の集団免疫が獲得されています。第8波で主流なのは夏の第7波と同じ「BA.5」でしたが、12月に入って「BXX.1.5」に置き換わり始めました。そして今では、死亡者数は第7波を超えています。その原因は、感染者が報告されている数よりもかなり多いからです。第8波になってから全数報告がなくなり、正確な感染者の数は分かりません。実際の報告の3倍以上あるとみていいと思います。

 さらに、前述のごとく今の日本人の大半は、ある程度の免疫を持っているので、症状が軽い、または出にくいため、検査すら受けない無症状の隠れコロナ患者が多く、12月中旬には新規感染者数が第7波を超えて、過去最多になったと推測されます。これだけ感染者数が増えれば、「BA.5」の致死率が低くても死者は増加します。

 集団免疫を獲得しているため、新型コロナに感染しても強い症状が出ないけど、インフルエンザにかかると高熱が出ます。それで発熱外来に来るのはインフルエンザの患者が多くを占めるようになった。私はそう考えています。

 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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