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吸血鬼のモデルは狂犬病の患者? 18世紀前半、欧州で狂犬病が大流行 オカルトブームと結びついたか

 狂犬病はRNAウイルスの一種「狂犬病ウイルス」による人獣共通感染症で、発症するとほぼ全例が死亡する病気です。イヌ・オオカミ・ネコ・コウモリも感染し、感染した動物に咬まれることでヒトに感染します。最初は風邪に似た症状ですが、ウイルスは末梢神経からさかのぼってやがて中枢神経を侵します。脳に感染がおよぶと、夜に凶暴となり、知覚過敏のため、臭いが強いニンニクや光を避けるようになり、十字架を怖がるのは尖端恐怖症の症状です。水を怖がるのは、中枢神経障害のために、液体を飲み込もうとすると喉頭けいれんが起きるからです。

 狂犬病の患者さんが、生き血を吸ったり咬みついたりすることはありませんが、18世紀前半、ヨーロッパでイヌやオオカミに狂犬病が大流行し、そこにもってきて当時のオカルトブームで吸血鬼が話題になっていたことから、吸血鬼伝説が、当時流行した狂犬病の症状と結びついて、現在の吸血鬼のイメージが出来上がったと考えられます。

 狂犬病の有効な治療法はありません。感染早期ならワクチン投与で発病を防止できますが、それよりも、危険地帯に旅行される方は事前にワクチンを接種することが必須です。日本では1957年以降、狂犬病の発生は報告されていませんが、フィリピンに旅行中に野良犬に咬まれた人が帰国後に狂犬病を発症したニュースは話題になりました。決して対岸の火事ではないのです。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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