オミクロン株はコロナの「分岐点」かもしれない  この瞬間も変異をやめないウイルス

 先週に引き続き「エラー・カタストロフ」の話をしようと思っていた矢先に、オミクロン株が世界の話題の中心になりました。

 日本での第5波は感染力の高いデルタ株が原因でした。デルタ株は高い複製能力を持っていたため、逆にミスコピーも起こりやすくなり、ウイルス自身にとって致命的な遺伝子変化が起きて、エラー・カタストロフの限界を超え一気に収束したとも考えられます。

 新型コロナウイルスは、世界中のいたる所で、今この瞬間も刻一刻と変異しています。どんどん新しい変異株が生まれ、弱いウイルスは淘汰され、生き残るのは強いウイルスです。「強い」というのは感染力の強さのことです。おそらく近いうちに、いま世界の流行のほとんどを占めているデルタ株は、オミクロン株に置き換わるでしょう。

 ウイルス学の一般論では、ウイルスの感染力と毒性は反比例するとされています。オミクロン株は強い感染力を持っていることは分かっていますが、これまでの新型コロナウイルスに比べて、遺伝子変異があまりにも多彩で、新型コロナの変異種というより、遠い親戚のような印象があります。本当に病原性が弱まっているのか、正しい評価にはもう少し時間が必要ですが、現時点では「毒性は弱い」という報告が多数です。

 エラー・カタストロフの話は別の機会に譲るとして、このオミクロン株は、もしかするとエラー・カタストロフ一歩手前の段階なのではないでしょうか。今後の流行とさらなる研究を注視していかねばなりませんが、過去の4種の旧型コロナと同様、新型コロナウイルスも「ただの風邪ウイルス」になっていく、オミクロン株はその分岐点と考えているのは、私だけではないはずです。

◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。

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