【谷光利昭医師】手足口病に特効薬はなし 症状が軽くても侮れない病気

 この季節になると保育園に勤めている先生方が、職場で手足口病が流行っているので、感冒症状が出たときに心配になって来院されます。

 多くの場合、大人に手足口病が発症することはありません。ただし、不顕性感染ということはあるので、手足口病が蔓延している環境でお仕事をされている人や、お子さんをお持ちの方は、うがい、手洗いを徹底的にすべきです。

 手足口病はこの時期、夏季に乳幼児に流行します。原因はコクッサッキーウィルス、エンテロウィルスの感染によります。口腔内、手掌、足底などの四肢の末端に水疱が出現し、その後、発熱することがあります。

 よく似た病気に同じコクサッキーウィルスが原因でなるヘルパンギーナという病気がありますが、多くの場合発熱と同時に喉の奥のほうに発赤を認めます。ヘルパンギーナの方は高熱が出ることが多くより幼い乳児、特に1歳に発症しやすいという特徴があります。

 手足口病に対しての特効薬はなく、症状に対しての対症療法が基本となります。一般的に症状は軽く対症療法のみで治癒しますが、ごく稀に重症化することがあり、中国や東南アジアでは多数の死亡を伴う報告が断続的になされており、侮れない病気ではあります。

 高熱が持続したり、嘔吐、頭痛などの症状が持続するようであれば速やかに医療機関を受診しなければなりません。流行時の保育園においては、うがい、手洗いを徹底し、タオル、ハンカチなどの共用はすべきではありません。また、職員がおむつ交換をするときも要注意です。手足口病が治癒した後も糞便からはウィルスの排出がしばらく持続するとされており、オムツ交換はウィルスが飛散しないように慎重に行い、交換後の手洗いも入念に行うことが大切です。

 現実問題として施設内での流行を阻止することは非常に難しいです。症状も軽いことから、手足や口腔内に水疱があっても、発熱、痛み、感冒症状がなければ通常の登園は問題ないとされています。

 ◆筆者プロフィール 谷光利昭(たにみつ・としあき)たにみつ内科院長。93年大阪医科大卒、外科医として三井記念病院、栃木県立がんセンターなどで勤務。06年に兵庫県伊丹市で「たにみつ内科」を開院。地域のホームドクターとして奮闘中。

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