【荒木正医師】眠くなって困る花粉症の薬 完全に防ぐことはできないけど…

 【Q】20年来の花粉症患者です。毎年この時期になると抗アレルギー薬を使用しておりますが、眠くなるので困っております。どうしたらよろしいでしょうか。(50代女性)

 【A】私たちの体では、花粉が体内に侵入してくると、それを異物と認識して抗体を作ります。抗体は血管周囲にある肥満細胞の表面に付着し、再び花粉が侵入してくると、その肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を生じます。

 抗ヒスタミン薬は、このヒスタミンに作用して症状を改善させる花粉症治療の中心的な薬です。抗ヒスタミン薬で最も困った副作用が眠気です。普段ヒスタミンは脳に作用し、活性化させる役割を担っていますので、この働きを阻害してしまうと脳の働きが低下して、眠気を生じます。

 強い眠気を生じなくても、自分では気づかない程度の集中力や判断力の低下、だるさを生じることがあり、この状態をインペアード・パフォーマンスと呼びます。特に、抗ヒスタミン薬が開発された当初の第1世代抗ヒスタミン薬では、この眠気やだるさが強かったことから、その点を改良した第2世代抗ヒスタミン薬が販売されました。

 最近では第2世代の抗ヒスタミン薬も市販され薬局で直接購入できるようになってきております。また医療機関で処方される第2世代抗ヒスタミン薬にも昨年からビラスチン、デスロラタジンという2剤が新たに加わり、より眠気を抑えることができるようになりました。

 一方で、これらの薬でも眠気を完全に防ぐことはできません。そういった方には①ロイコトリエン拮抗薬という別の機序の薬を使用する②点鼻薬や点眼薬を使用する③舌下免疫療法を使用するなどの方法もありますが、どの方法も単独使用での効果は抗アレルギー薬と比較し弱いため、あくまでも抗アレルギー薬が花粉症治療の中心であることに変わりはありません。

 どのような組み合わせがいいか、かかりつけ医と相談しながら薬を使用してみて下さい。

 ◆荒木 正(あらき・ただし)03年、東邦大学医学部卒。東邦大学医療センター大橋病院などに勤務後、16年に東京都江東区に亀戸内科クリニック開設。循環器・糖尿病内科医として地域に密着。総合内科専門医。循環器専門医。

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