【谷光利昭医師】「動脈硬化」対策はまず血圧の管理

 【Q】健康診断で「左上縦隔心大血管の石灰化」と言われました。体への影響はありますか?私は甲状腺機能低下症でチラージンを20年ぐらい飲んでいます。(70代女性)

 【A】心臓から全身血液を送るために太い血管があります。その血管の一部に動脈硬化を認めるということだと思います。動脈硬化とは、簡単に説明すると血管の中にゴミが蓄積して、動脈を細くしてしまうとともに硬くして、もろくなる状態です。

 その部位に血流などの負荷がかかると、血管の内側に傷がつき、場所によっては、脳梗塞、心筋梗塞、大動脈解離などの病気を引き起こしてしまう可能性があるのです。身体の中で、最も太い血管に動脈硬化を来しているということは、他の部位にも動脈硬化を来している可能性があります。

 例えば、足の血管が詰まってくると、歩いていると足が痛くてすぐに歩けなくなったり、ひどい場合には、壊死を起こす場合もあります。内臓にも血管があり、内臓を栄養している血管が詰まると、内臓が腐ってしまうこともあるんです。

 動脈硬化というのは、様々な病気を惹起(じゃっき)するので注意が必要です。自分でできる対策で一番簡単なのは、血圧の管理です。我々の食事には塩分が非常に多く含まれています。過剰な塩分摂取を控えることが大切です。

 今年7月に発表された高血圧のガイドラインでは、65歳から74歳で、140/90以上なら高血圧の薬の内服が推奨されています。家庭で血圧測定して上記の値を頻繁に認めるようであれば、治療された方がいいでしょう。

 また、悪玉コレステロールはさまざまな要素と絡まり、傷がついた血管の内側から侵入して動脈硬化の原因になります。悪玉コレステロールを上昇させる食事は控えないといけません。

 甲状腺機能低下も悪玉コレステロールの上昇を来しますので、これまで通り、チラージンの内服は続行してください。首の血管の超音波検査は、全身の血管の動脈硬化を反映すると言われており、侵襲のない簡単な検査です。主治医と相談され、今後の対策を練ることが肝要です。

 ◆谷光利昭(たにみつ・としあき)兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。デイリースポーツHPで医療コラム「町医者の独り言」を連載中。

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