イチロー氏から伝わってきた熱い思い 女子高生球児を相手に満身創痍の肉体で大熱投

 まさに魂のこもった大熱投だった。18日、ほっともっとフィールド神戸で行われた女子高校野球選抜との一戦で「KOBE CHIBEN」の先発投手として出場したイチロー氏。4安打17奪三振で完封勝利を収めたが、満身創痍(そうい)での投球だった。

 七回1死一、二塁の好機で迎えたイチロー氏の第三打席、この回からマウンドに上がった山口優生菜(クラーク記念国際仙台)の前に、体を泳がされながら一ゴロを放った背番号1は、懸命に一塁へ駆け込むも併殺。「あのイチローが併殺?!」。そう思うかもしれないがイチロー氏の足は限界だったようだ。喜ぶ女子球児の奥でイチロー氏は体を追って両足の裏を抑えた。

 だがベンチで足を伸ばすと、八回のマウンドへ。先頭は三振に取ったが、石山明佳音(折尾愛真)への投球中に右足をつり、顔をゆがめてグラウンドに手をついた。心配したナインが集まる中で、イチロー氏は必死に痛みを押し殺し、努めて平静を装い再びマウンドへ上がった。その姿に球場から拍手がわき起こる。

 そして最終回、気合に満ちた表情で渾身(こんしん)の147球目を投げ込み、安食沙南(島根中央)を空振り三振に仕留めたイチロー氏。ほっとした表情でマウンドを降りると、苦笑いしながら捕手へ右腕を見せた。その親指は内側に大きく曲がったまま固まっていた。足も手もつり、それでもなお、完投と勝利にこだわったイチロー氏の姿は、女子高校球児たちにとって、何ものにも代え難い教示となったに違いない。(デイリースポーツ・吉澤敬太)

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