【スポーツ】横審が協会、力士に休場者続出を問題提起 夏場所は役力士9人中5人不在 巡業日程に踏み込んだ発言も
小結若隆景が25場所ぶり2度目の優勝を果たした大相撲夏場所。千秋楽翌日に日本相撲協会の諮問機関、横綱審議委員会(横審)の定例会合が東京・両国国技館で開かれ、大島理森委員長(元衆院議長)が休場者の続出に関し、協会に分析と対応を求めたことを会見で明かした。巡業日程への問題意識を示唆するなど、いつになく積極的だった。
豊昇龍と大の里の両横綱、安青錦と琴桜の両大関、小結高安ら幕内の7人が休場し、役力士は9人中5人が不在。大島委員長は横審の総意として「残念である」と伝え、八角理事長(元横綱北勝海)から「大変申し訳ございません」と謝罪を受けた。
大島委員長は休場者問題に「若い力士の体力、身体、メンタル面を分析をして、対応を考えていただきたい」と協会に要望。さらに場所後の「スケジュールに時間のゆとり、猶予はあるのか」と言及した。巡業の日程を指すと思われる。
夏場所前の春巡業は29日間で27回開催され、離脱者が相次いだ。名古屋場所後の夏巡業は8月2日から30日まで29日間で28回開催され、翌31日は秋場所の番付発表だ。
“ブラック巡業”と指摘する声もあるが、故郷凱旋(がいせん)を喜ぶ力士は多い。モンゴル出身でも、母校が近い巡業では関係者の来訪を受けて喜ぶ姿がある。「巡業は大事な仕事」と前向きな力士は少なくない。一方で「治療に行く時間がない」「休みが少ない」とこぼす力士も多い。
春巡業最終日、高田川巡業部長(元関脇安芸乃島)は「巡業は普及のため、本場所は勝負を見てもらう場。協会の軸はこの二つ」と語った。巡業での稽古は「力士はプロ。やりたいやつがやればいい」と自主性に任せてきた。体のケアでトレーナー2人を帯同させ、バス移動は関取1人で2席使用する配慮を行う。
ある親方によると、2年先まで巡業予定が埋まっているほどの大相撲人気。巡業は協会が潤うもので、力士にとっては懸賞の増加に結びつく。
昨年71勝で年間最多勝の大の里は懸賞を年間2432本(力士に1本6万円で計1億4592万円)を獲得し、全体総数は1万4979本。年間史上最多86勝をマークした10年の白鵬は2111本獲得も、全体総数は5120本。相撲人気は、力士にとって巡業という負担だけでなく収入にもつながっている。
大森委員長は休場者続出で「強い相撲の戦いが薄れていくと、相撲全体の人気がどうなるか心配という意見もあった」と指摘しつつ「横綱の責任を果たす体作りを」と、両横綱には奮起を求めた。協会と力士がどう応えるか。横審が存在感を示したのは間違いない。(デイリースポーツ相撲担当・山本鋼平)
