【スポーツ】東京五輪空手銅「僕は軍人の一人。指示があれば戦場に行く立場」 ホルナさんが語る祖国ウクライナの今 

 2021年東京五輪の空手男子組手75キロ級で3位となり、祖国ウクライナの支援のためにオークションに銅メダルを出品したスタニスラフ・ホルナさん(37)がこのほど来日し、落札者からメダルが返還された。取材に応じたホルナさんはロシアから軍事侵攻を受けた22年から現在のウクライナの状況を明かした。

 都内にある空手道場で子どもたちへのレッスンを行い、笑顔を浮かべていたホルナさん。母国のことに話題が及ぶと、表情が真剣なものに変わった。東京五輪で銅メダルを獲得した後、ダンスをたしなむなど平和に暮らしていたが、半年後にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した。

 「友人が最前線で戦っているし、何人かは亡くなってしまった。空手仲間は道場をなくしてしまった人もいる。最初の3カ月は深刻な状況で、僕は友達が用意してくれたハンガリーのアパートに(避難して)、妻と息子と住んでいた」

 ホルナさんは19年にアスリートカテゴリーで軍の訓練をひと通り受講。書類にもサインしており、もし招集があれば五輪メダリストでも前線に行く可能性がある。「僕は軍の一人。いつでも指示があれば戦場にいく立場になる。その用意をしている」。渡航などの手続きは現在も厳しく、軍や国に申請が必須。ウクライナの空港は封鎖されているため、ポーランドに車移動してから航空機を利用する必要があるという。

 ホルナさんは友達作りを目的に13歳で空手を開始。五輪種目ではなかった頃から4年に一度の大舞台に憧れ、初採用された東京五輪で銅メダルを獲得した。ただ戦争が始まり、銅メダルは母国支援のためにチャリティーオークションに出品。日本人が本人に返還するために2万500ドル(当時のレートで約250万円)で落札し、今月に返還された。「ウクライナではいろんなことが起きていて、メダルのことを考える時間はなかった」と当初は感情が追い付かなかったが、二度と戻ることのないと思っていたメダルを再び手にし、「このメダルは人と人との助け合いを証明するもの。大きくなった息子に見せられることがうれしいし、夢はもっと大きく持って良いと伝えたい」と感謝を込めた。

 現在は空手の指導を行いながら、リビウ州議員として活動する。日本の子どもたちには「僕はプレジデントになる」と伝えていた。「ホームとは住んでいる場所だけの意味ではなくて、人や周りの環境も含めてホーム。今まで60カ国以上を回ってきたけど、住みたいと思うのはウクライナだけ」。1秒でも早い平和を願った。(デイリースポーツ・谷凌弥)

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