【スポーツ】なぜ?男子やり投げ・崎山雄太の強さの秘密とは 日本選手権で歴代2位87メートル16で初V&世界切符 持ち味自負
陸上男子やり投げの崎山雄太(29)=愛媛競技力本部=が、5日に行われた日本選手権で日本歴代2位の87メートル16をたたき出して初優勝した。9月の世界選手権東京大会の参加標準記録(85メートル50)を突破し、代表を勝ち取った。悲願の優勝を果たし、2大会連続で世界切符をつかんだ崎山の強さとは。
世界選手権の代表選考会を兼ねた日本選手権。崎山は初優勝し、参加標準記録も突破して世界切符もゲット。世界選手権の会場でもある国立競技場のど真ん中で歓喜の雄たけびを上げ、右拳を高く突き上げた。
「自分にも意地がある。どうにかして投げてやろうと思った結果。88メートルくらいはいつでもいけると言われていた。それに近い記録が出せたことに一安心している」
2大会連続で世界選手権への道を切り開いた29歳。4投目ではディーン元気(ミズノ)が83メートル97を記録して首位に立ったが、5投目で快記録をマークした崎山は「リリースした瞬間に飛んでくれたのが分かった。4本目のディーンさんを超えた感触があった」と手応え十分だった。
2年前の屈辱がある。前回のブダペスト大会は、予選で3投ともファウルのため記録なし。「ふがいない結果を残してしまった」と悔やむ。さらにはその大会でケガが発覚。「痛いなと思ってドクターに診てもらったら、右すねの疲労骨折。1年前からアキレス腱(けん)もですね」と、消えない悔しさと度重なるケガと戦ってきた。
ただ「そこがあったから、今回の世界選手権があるというふうに思えた。万全の準備をして痛いところもなく、このまま2カ月後を迎えられたら」と今は前向き。万全の状態で本番を迎えるべくトレーニングを積んでいる。
持ち味は脚力。自分でも「皆さんよりも強いと思える」と自負するほどだ。日大時代に段跳びや跳躍系の練習をしていた時「脚力を生かせ」と言われたというほど。「ラストクロス(投げる前の最後のステップ)で進めるか進めないか。最後の3歩でスピードを落とさずに乗り切れるか。跳躍力があれば簡単に前に進める」と投てきに力を乗せる。
目指すは、2009年ベルリン世界選手権で銅メダルを獲得した村上幸史さんを超えることだ。「『日本人でも勝負できるんだぞ』っていうのを見せたい。まずは自分のできることをしっかり準備して臨みたい。出るからにはメダルを」と、世界に通じるビッグスローをしてみせる。(デイリースポーツ・南香穂)
◆崎山雄太(さきやま・ゆうた)1996年4月5日、奈良県出身。関西創価高から日大へ進学した。やり投げを始めたきっかけは、高校の体育の授業で、やり投げ用のやりを模したジャベリンを投げて興味を持ったこと。23年世界選手権ブダペスト大会代表。





