【スポーツ】なぜ?バレー男子日本代表・ティリ新監督がスローガンに四字熟語を選んだ理由とは 「勇往邁進」 フランス出身
バレーボール男子日本代表が、準々決勝で敗退した昨夏のパリ五輪のリベンジを誓って再スタートを切った。恒例となっているスローガンは『勇往邁進(まいしん)』。フランス出身のロラン・ティリ新監督(61)が、四字熟語を選んだ理由とは。
2季連続の外国人監督となったティリ氏。5日のキックオフ会見では、節々に日本への敬意がにじんだ。会見場に1歩足を踏み入れると、両足をそろえて一礼。冒頭のあいさつでは「ミナサマ、ハジメマシテ」と日本語で話し、照れくさそうに笑う。さらにスローガンは『勇往邁進』の漢字に設定した。
直近では2023年女子代表の「OVER TAKE(世界を超える)」、24年男子代表の「ALL FOR PARIS(全てはパリ五輪のために)」、25年女子代表の「STRONG ROOTS(強い根っこを持ったチームを構築する)」などと英語が続いていたが、いきなり四字熟語。理由を聞くとティリ監督は、こう説明した。
「日本代表なので、日本語を使って文化や伝統を重んじたスローガンにすることが大事。四文字の漢字を知っていたわけではないけど、スローガンのコンセプトをチームに話したところ、四文字を見つけてくれた」
会見で掲げた勇往邁進と描かれたパネルの下には、小さな文字で「Los Angeles 2028」とも書かれていた。1972年ミュンヘン五輪以来の頂点を目指したパリ五輪。準々決勝でイタリアにフルセットの末に敗れた悔しさは、しっかり受け継いでいる。「目標はロサンゼルス五輪でのメダル獲得。スローガンに込めたように、勇気を持って進んでいくことが重要」とし「目標は表彰台、表彰台、表彰台」と強く繰り返した。
新体制のチームは動き出したばかり。今季は西田有志(大阪B)が休養意向で、石川祐希(ペルージャ)、高橋藍(サントリー)も個別調整中。ネーションズリーグが開催される代表活動の前半期間は、若手中心の布陣で臨むことになる。「日本人の強みは、守備と速いパス回し。課題はブロックやサーブで、大きな大会でメダルを取ることに慣れていくことも(必要)」と課題も明確で、「ロス五輪に最善の状態で臨むための移行と再構築の年になる」と指揮官。次の夢舞台に向けての強化の道筋はすでに見えていそうだ。
勇往邁進は、目標に向かって恐れることなく前進する、という意味を持つ。21年東京五輪でフランス代表を金メダルに導いた青い目を持つサムライが、日本代表を率いてロサンゼルス五輪に向けて動き出した。(デイリースポーツ・谷凌弥)
◆ロラン・ティリ 1963年12月1日、フランス出身。1982年からフランス代表でプレーし、五輪は88年ソウル、92年バルセロナ両大会に出場し、それぞれ8位、11位だった。91、92年には代表主将を務めた。チェコの監督などを経て、12年にフランス代表監督に就任。15、17年にワールドリーグ優勝。五輪は16年リオデジャネイロ大会9位、21年東京大会では金メダルに導いた。SVリーグ・大阪Bの前監督で、25年から日本代表男子監督に就任。