【野球】なぜ?西武が激変したワケ 昨季は借金15で松井監督休養 今季は貯金4の3位で交流戦突入
西口新監督を迎えた西武が27勝23敗と貯金4を携えて、3日から始まる交流戦に突入する。思えば昨年、連勝を飾った5月26日のオリックス戦後に松井稼頭央監督の休養、渡辺久信GMの監督代行就任が発表されたが、当時の借金15からの巻き返しはならず、最終的には49勝91敗3分けと借金は42まで膨らみ、断トツの最下位に沈んだ。
心機一転を図った今季、開幕4連敗を喫し、また今年もか…という雰囲気が漂ったが、4月29日に借金を完済すると、その後は一度も借金生活に転落することなく、5月を乗り切った。
阪神OBの中田良弘氏は「監督が代わって仕切り直しという部分も大きいだろうけど、やっぱり今年の西武を見ていると、先発投手の頑張りがすごく目立つよね。そんなに打線が爆発してるという試合はないんだけど、先発投手がきっちり試合を作ってる。これが昨年との一番の違いじゃないかな」と分析した。
防御率2・44は日本ハムに次ぐリーグ2位。失点数130はリーグ最少。チーム打率・238はリーグ3位ながら、24本塁打は同5位で、146得点も同4位ということを見れば、やはり投手陣を軸に勝利を得ているという図式に間違いはないだろう。
昨年は2桁勝利を挙げた今井が10勝8敗、ルーキーの武内が10勝6敗と2人で6つの貯金を作ったが、高橋が0勝11敗、松本が1勝9敗、9勝を挙げた隅田も10敗を喫するなど、今井と武内以外に先発投手で貯金を作れなかったことが、勝敗を大きく左右した。
だが今年は、今井が5勝1敗、隅田が6勝2敗、育成ドラフト指名から4年目の菅井が4勝2敗と貯金を生み出し、渡辺が3勝3敗ながら防御率2・74、高橋も2勝3敗ながら同2・49と安定した成績を残している。
やはり際立つのはリーグ防御率1、2位に位置する今井と隅田だ。防御率が両リーグで唯一の0点台となる0・83という驚異的な数字を残している今井は、日本ハムとの開幕戦こそ9回2失点で黒星スタートとなったが、以後は負け知らず。ここまでの全10試合で7回以上を投げ、全試合で2失点以内というハイクオリティースタートをマークするなど、150キロ台後半の直球に多彩な変化球を駆使して被打率・144という驚異的な数字も残している。
プロ入りから3年間、全ての年で負け越してきた隅田も今季の防御率は今井に次ぐ1・19。左腕もここまでの8試合全てで6回以上を投げて3失点以内というクオリティースタートをマークしており、6勝は日本ハム・伊藤と並ぶリーグトップタイだ。
救援陣の働きも見逃せない。チームトップの20試合に登板している新加入のウィンゲンターは3敗こそ喫しているが、13ホールド、防御率1・86。同1・96の平良が12セーブを挙げ、甲斐野、ラミレスも防御率1点台をマーク。さらに昨年まで1軍登板のなかった高卒3年目の山田が今季は17試合に登板して1勝1敗の防御率0・53。5月31日のオリックス戦で今季初失点を喫したものの、昨年まで西口2軍監督に指導されてきた右腕が、開幕から15試合連続無失点と勝利の方程式の一員として頭角を現してきたことが大きい。
失点が計算できる強みが今年の西武にはある。先発投手がリードを保って6回を投げてくれれば、その後は盤石のリリーフ陣が相手打線を抑える。打線では1番に西川が定着し、ドラフト2位の渡部聖が打率・331、4本塁打、17打点をマークし、4番を張る新助っ人のネビンがリーグ2位の26打点を挙げている点も見逃せないが、主役は投手陣。3日から始まる交流戦でも、西武が台風の目になりそうだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)