【スポーツ】興行面で大成功のSVリーグ初年度に見えた早急に改善したい課題とは? 退団の米国代表が残した痛烈コメント
SVリーグ初年度は興行面で見れば、大成功だったと言えるだろう。昨今のバレーボール人気の勢いに陰りはなく、観客数は激増。旧Vリーグ1部と比べ、RSでは男子が1・75倍、女子が2・95倍に増えた。しかし、産声を上げたばかりの新設リーグ。早急に改善したい課題もあった。
男子はプレーオフ準決勝・サントリー-名古屋でチャレンジ(映像判定)を巡ってリーグが謝罪する騒動が巻き起こった。また、RSでは昨季のVリーグ時代から16試合増の44試合となったことに、選手からはハードスケジュールに向けた不満の声も目立った。女子は観客総数が増えたものの、試合数増加による影響が大きく、平均入場者数で見れば男子との人気の落差が激しかった。
特に議論を呼んでいるのが日程面。大前提として、10月から年をまたいで4月の半年間に詰め込んだ44試合が適切なのか。この問題に24~25年シーズン限りで大阪Bを退団した米国代表のトーマス・ジェスキーが、自身の最終戦となったプレーオフ準決勝2戦目後の会見で、リーグに向けた強烈な“置き土産”を残していた。
「もちろんビジネスなので理解するが、選手たちの健康や体調よりお金をもうけることしか考えていないと正直に思う」
世界最高峰のイタリア・セリエAやポーランド1部でプレーしてきた助っ人は、日程面の問題を具体的に話した。試合数はもちろん、RSでの対戦数がチームによって6試合と4試合に分かれる不均衡。ほとんどが土、日曜の2連戦となっていることも問題視し、「ヨーロッパでは日曜日、水曜日と試合をしている」。ジェスキーがプレーしてきたポーランドやイタリアのリーグは隔日開催で、選手の負担は分散されていると言える。
ただし、否定的な意見ばかりではない。サントリーの高橋藍は「常に緊張感を持って試合することの経験はすごく重要。自分も(パリ)五輪が終わってから、1点が大事だというシチュエーションはこの44試合の中でもいっぱいあった」と前向きだった。
プレーオフは男子が10クラブ中、RS上位の6クラブ、女子が14クラブのうち同8クラブと半数以上が進出。出場枠が多いことで消化試合が少なくなる側面があり、過密日程でも高いレベルの戦いを維持できたことを自身の成長材料に捉えた。
課題を抱えながらもプロスポーツとしてのポテンシャルを秘めたSVリーグ。大阪Bの西田有志はSNSで「選手の意見をまとめ提言し、改正に向ける。1番必要」と選手会の設立を提言している。世界最高峰のリーグを目指すために、課題解決へ選手目線の声を反映させることが必須だろう。(デイリースポーツ・中谷大志)



