【野球】ヤクルト・山田を支え続ける異色の社員1人グラブメーカー 不思議な縁と運命「それ(仕事)以上の関係」
ヤクルト・山田哲人内野手(32)を10年以上、支え続けている男がいる。グラブメーカー「ドナイヤ」の代表取締役社長・村田裕信氏(52)だ。ミスタースワローズは、15年目の今季も自身初のゴールデン・グラブ賞獲得を目指している。社員1人の会社で奮闘してきた異色の存在、村田氏と二人三脚で歩んできた道のりを探った。
ヤクルトが2日から阪神と3連戦を行った甲子園。三塁側ベンチとロッカーをつなぐスペース。そこでパイプイスに座る村田氏の姿があった。試合前に山田と接しやすい場所にいるためだ。今年もここまで山田と週1回のペースで会い、グラブの手入れも行っている。
「グラブの指先や土手のレースは緩んでくるので締めて元通りにし彼の形に戻す。ワックスで磨く。グラブを常に彼のベストな状態に持っていく感じです」。「ドナイヤ」の社員は村田氏1人。営業、販促、開発、検品、出荷と全て1人でこなす。多忙だが唯一の契約選手である山田のフォローは絶対に欠かさない。会えば食事をともにし、村田氏に相談を持ちかけることもある山田は「人としてすごい好きです。それ(仕事)以上の関係になっています」と絶大な信頼を寄せる。
スポーツメーカーに勤務していた村田氏が独立し会社を設立したのは2010年。この年くしくも山田がドラフト1位で履正社から入団した。前職のスポーツメーカーの契約選手がヤクルト・池山隆寛(現2軍監督)。ちなみに池山は会社の名付け親であり、池山の「どないやねん。『ドナイヤ』でええやんけ」というユニークな発想が多くの候補の中から採用された。
不思議な縁と運命に導かれたかのようだ。池山と山田。兵庫県出身の内野手で背番号1のミスタースワローズ、と共通点は多い。村田氏は「華のある子。スラッとしているイケメン。池山さんのイメージとかぶりました」。山田に自社のグラブを使ってほしい思いはあったが、スター候補に大手メーカーが殺到していると予想し「使うことはないかなと思っていた」。ただ山田は同僚がドナイヤのグラブを使っているのを見て影響を受けた。試すとボールが手のひらに引っつく感覚があった。「一番はピボットの時に握り替えがしやすい」と山田。入団3年目の13年以降は本格的に使った。
16年に契約第1号選手としてアドバイザリー契約を結ぶ。「彼も2軍から1軍になってレギュラーを取った。うちもどんどん全国に商品を卸すスポーツ店さんが増えていった。タイミングがちょうど一致した。一緒に歩めた。いろんな意味で運命的なものは感じます」。運命の糸が絡んで二人三脚がスタートした。
打撃の選手というイメージもあるが山田は「守備で認められたいです」。チームの勝利のため守備を磨き、自身初のゴールデン・グラブ賞を毎年のように目指している。「うちはグラブ屋さん。ゴールデン・グラブ賞を取ってほしいなという思いはあります」と村田氏。2人が思い描く同じ夢の実現へ挑戦は続く。「あとの夢は山田選手が1年でも長く現役をやってほしい」。村田氏の忙しい日々も、まだまだ続きそうだ。(デイリースポーツ・伊藤玄門)




