【野球】阪神 岡田監督の起用はなぜ当たる?驚くべき観察眼&練習を見る場所 4番・原口が大当たり「普通やろそんなん、組み替えもクソも」

 薄暮での練習を見守る岡田監督=4月1日
 7回、京田の判定がアウトに決まり、喜ぶ岡田監督(左端)ら=11日
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 「中日4-9阪神」(16日、バンテリンドーム)

 スタメンを見た時、思わず驚いた。不振の大山悠輔内野手が先発を外れ、代わって4番に入れたのは原口文仁内野手。岡田彰布監督は「調子良いやんか」と明かし、起用した背番号94は1号3ランを含む4打点の大暴れ。一夜明けてもファンは「さすがです」「起用が光った」と称賛の声が相次いだ。

 打線の組み替えについて指揮官は「普通やろ。そんなん、組み替えもクソも」と意に介さなかったが、昨年から動く局面で繰り出した一手はことごとく当たっている。選手、関係者らチーム内でも「まるで未来から来た人のような」といった声も上がっていた。

 なぜ岡田監督の選手起用はハマるのか。その一端をデイリースポーツ評論家時代に教えてもらった。「そら、見ることよ」と指揮官が大切にしているのが観察眼。練習を見る、選手を分析する姿勢は例えユニホームを着ていなくても変わらなかった。キャンプで内野の特守を視察した際には、選手の動きだけで無く、表情など姿勢の部分まで目を凝らした。さらにノッカーが打つボールの質、指導の仕方まで見つめた上で評論してもらった。

 また2020年に行われたソフトバンクと巨人の日本シリーズでは、イニング間のボール回しまで見つめていた。内野手がどのようにしてボールを捕球し、どんな体勢から投げているか。時にはバックハンドで捕球し、時には無理な体勢から投げてみる。捕手・甲斐の二塁スローイングも毎イニング見つめ、「ほんまに全力で投げてるんよな。細かいところやし、テレビ中継では見られへんところなんやけど、色んなことがプラスアルファになっている。これは率直にすごいことやと思うよ」と興奮気味に語っていたのをよく覚えている。

 その話の流れで第一次政権時代から気になっていたことをぶつけた。「なんで色んな場所から練習を見るんですか?」。打撃ケージの後ろからではなく、時にはセンターから、時には両アルプスの前から。日によって違う場所から練習を見ていたのが印象深い。

 「そら違った場所から見たら、また見え方も違うやんか。何か新しい発見があるかもしれんやん」と明かしていた岡田監督。誰よりも選手を知り、状態を把握した上で先発オーダー表に名前を記す。そして期待に応える働きを見せる。「調子良いいやんか」と語った原口の活躍は、指揮官の鋭い観察眼によって引き出されたとも言える。

 大山が不振にあえぎ、佐藤輝も2軍落ち。開幕から3番も固定できず、クリーンアップが定まらない状態で5月を迎えている。それでも貯金「5」をキープし首位だ。

 昨季、38年ぶりの日本一に輝いたチームとはまた違った形へと動き始めている阪神。左翼のノイジーを三塁で起用する可能性も練習から見て取れる。どんな“進化”を遂げていくのか-。岡田監督の「眼」がその答えを導き出す。(デイリースポーツ・重松健三)

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