【野球】なぜ?DeNA不動の4番・牧が守備を重んじる理由とは 目標は「ゴールデングラブ賞」 実は高い守備力への評価

 日本を代表するスラッガーの一人であるDeNA・牧秀悟内野手(26)。“打撃の人”のイメージが強いが、安定感ある二塁の守備も見逃せない。一流のプレーヤーの証しとして、打つだけでなく守りも兼ね備えてこそという持論の持ち主。今年は守備力もテーマのひとつに掲げ、二塁手として「ゴールデングラブ賞獲得」を目標のひとつに置く。守備を重んじる牧の矜持(きょうじ)に迫る。

 スタンドの虎党の大歓声は、一瞬にして深いため息に変わった。4日の阪神戦(京セラ)。1点リードの八回2死一、二塁、糸原の中前に抜けようかという鋭い打球に二塁手・牧は横っ跳びでダイビングキャッチ。すぐさま二塁へグラブトスし、同点の危機を切り抜けた。

 今季は牧の好守がピンチを救い、盛り立てるシーンが目につく。チームは開幕から24年ぶりに3カード連続勝ち越しと幸先良いスタートを切ったが、その裏には間違いなく牧の守りがある。

 「今年は守備もテーマに置いています。グラウンドに立つ以上、打撃はもちろん、守りもできてこそ。年々、守備の大事さを感じています」。今季から新たに主将に就任。143試合、フィールドに立ち続けることへの責任感が、よりディフェンスに対する重みを深めている。

 チーム不動の4番であり、日本代表の常連。昨季は打点王と最多安打のタイトルを獲得するなど球界屈指の強打者だが、実は守備力への評価も高い。田中内野守備コーチは「見た目からすると意外だけど、肩は強いし併殺が取れる。カットプレーや中継プレーも正確で、センターラインの核でありディフェンスの要」と守りのキーマンに挙げる。キャンプから特守に励むなど今季は特に意欲的に取り組んでおり、牧は「ゴールデングラブ賞を目標にしています」とはっきりと口にする。

 もともと、守りの重要性は感じてきた。だからこそ、プロ1年目のオフから一貫して、自主トレは守備職人として知られるチームメートの大和に弟子入りしている。併殺の取り方や足の運び方。名手直伝の技を徹底してたたき込まれた。

 大和は代弁する。「二塁はほぼ牧と決まっているから、エラーを少しでも減らせることがチームのためになる。本人もそこを分かっている」。今オフ、牧に好物のコーラを断つようアドバイスしたのは有名だが「二塁手で大きいのを打つ人はなかなかいないので貴重。二遊間を長く守れる体作りができればいいなと」との思いからだ。シーズンに入っても牧はコーラ断ちをストイックに継続中で、体のキレが生まれ守備範囲も確実に広がっているという。

 「守りでのリズムが、打席にもいい影響を与える」と牧。主砲としてバットでけん引することはもちろん、守りを磨くことが、選手としてのスケールアップにつながる。むしろ、選手としてのグレードが上がるほど、守備の重みは増す一方だと自覚している。

 目標に掲げたゴールデングラブ。同一リーグの二塁手には広島・菊池をはじめ阪神・中野、巨人・吉川、中日の新星・田中らがひしめくが、“激戦区”を承知で、あえて高みに挑む。その心意気が、チームをおのずと勝利へ導く。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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