【スポーツ】世界を震撼させた張本美和の強さと礼儀正しさ 15歳のスーパー中学生がパリ五輪の主役になる

 53年ぶりの世界一まであと少しだった。世界卓球団体女子決勝。早田ひな、平野美宇、張本美和という最強布陣で臨んだ日本は、大会5連覇中だった中国に2-3で屈したものの、王者を本気で震え上がらせた。

 中でも今大会で注目を集めた選手のひとりが張本美和だろう。決勝で孫穎莎と陳夢に敗れはしたものの、2-2で臨んだ最終第5試合。想像を絶するようなプレッシャーが襲いかかる中、東京五輪シングルス金メダリストから第1ゲームを先取した。変幻自在なサーブで相手を揺さぶり、巧みなラケットワークと頭脳的プレーで得点を重ねた。

 テレビ東京系で解説を務めたロンドン五輪女子団体銀メダリストの平野早矢香氏は、何度も「素晴らしい!」というフレーズを連発し、弱冠15歳のスーパー中学生の技術、精神力を絶賛した。

 張本を見るにつけ、感服したシーンがある。試合開始前に審判、相手選手に挨拶する際には、丁寧で律儀な対応があった。一番驚いたのは、タイムアウト時に自軍ベンチで伊藤美誠らからアドバイスを受け、再びコートに戻る際、一度、卓球台に背を向けて振り返り、伊藤や味方選手に「ありがとうございます」と深々と頭を下げて謝意を伝えるシーンが何度もあったことだ。

 タイムアウトの短い時間で頭を整理し直し、改善点、相手の弱点や攻めどころを伝えてくれる先輩たちの声を冷静に受け止めた15歳。そして、的確な助言を与えてくれた先輩に対して、敬意を持って対応した姿。技術面だけでなく、精神面、頭脳面においても、日の丸を背負って立つ逸材だと印象づけた。

 決勝のスタンドで拍手を送り、背中を押し続けた兄・智和。五輪3枠目の団体要員が選ばれる前には「僕は妹を入れてほしい。僕には何にもできないんですけど、妹がふさわしいと思います」と猛プッシュしたが、その言葉に偽りがないことを誰もが認める強さだった。

 パリ五輪では、今度こそ打倒・中国への期待感が高まる。今大会では早田が初めて陳夢を破り、平野は王芸迪をストレートで下した。決勝で大会初黒星を含む2敗を喫した張本だが、見ている者には強さと伸びしろを感じさせた。欧州の地で、一番輝くメダルを手にするのにふさわしいチームだ。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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