【芸能】ロックは世代間ギャップを越えて ダストゥン・ボーンズ インタビュー
ロックバンド「The DUST’N’BONES(ザ・ダストゥン・ボーンズ、以下ダスボン)」が昨秋、ニューアルバム「1000のロックンロール」をリリースした。元ZIGGYの戸城憲夫(63)、元SADSの坂下丈朋(55)と満園英二(55)というベテランぞろいのバンドに、森重樹一(ZIGGY=60)の後任ボーカルとして2019年に加入したnaoは34歳で、他メンバーとは親子ほども違う年齢だ。世代間ギャップを越えるロックの力を、戸城とnaoが語った。
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戸城と坂下のバンド「THE SLUT BANKS」がnaoのバンド「首振りDolls」とツアーしている時にダスボンの曲で共演したことが、nao加入のきっかけだった。当時、ダスボンは2011年の森重脱退後、活動停止状態。一方で、首振りを戸城がプロデュースしており、縁があった。
nao「(戸城から)『ダスボンの新しい曲ができた』っていう連絡が来て、トントン拍子でアルバム制作に入っていった。気付いたらボーカルやってました」
世代間ギャップは意外に感じないという。「コア過ぎて何の話してるか分からない時はあるんですけど(笑い)。人間的にはバンドマンなんで、基本的に若いとか(老いているとか)関係ない」。
話を聞いていくと、共通点もある。naoは作詞で影響を受けた存在として、寺山修司の名を挙げた。
nao「憧れましたね。そんなこと考える?そんなことやってみる?みたいなことやるじゃないですか。寺山修司さんのやることなすことに、美術とか芸術に触れてめちゃくちゃ感化された中二病のころにかっこいい!と感じたことが詰まってる」
戸城は、寺山とも縁の深いシンガー・ソングライターで俳優の名を挙げる。
戸城「三上寛がすごい好き。似てるよね、昭和のあの辺の人はね。70年代のあの辺の人って、日本人も面白かったよね。全部すごい過激だったし。今なんかに比べりゃ、全然いい時代だったよな」
本作はnao加入後2作目。ZIGGYのカバー1曲を除く全曲が作詞nao、作曲戸城のコンビだ。naoによれば「1000のロックンロール」とは、どのバンドでもメインソングライターを担ってきた戸城を指しているという。
nao「戸城さんって(作品が)1000曲くらいあるんじゃねえかなと思って『THOUSAND ROCK’N’ROLL』という曲を作ったら、戸城さんが『1000のロックンロール』というタイトルにしようと言って」
1曲目の「The Golden Age」はモット・ザ・フープルの「ロックンロール黄金時代」を、7曲目の「Roc’n Roll Radio」はラモーンズの「リメンバー・ロックンロール・レディオ?」を連想させるなど、ロックの黄金時代をほうふつさせるアルバムに仕上がっている。戸城とnaoは曲作りを次のように説明する。
戸城「俺なんかロック聴き始めてから半世紀近くたってるんだけどさ、10代の頃に聞いたロックが一番面白い時代だったんじゃないかな。その頃の自分の感じを曲で表したらいいかな、みたいな」
nao「聴き手によっていろんなとらえ方ができるように、限定された書き方はしていない。例えばモット・ザ・フープルの時代だけがロックンロールの黄金時代なのかといったら、(人)それぞれにあると思うんで、それぞれの人生で経験があるようなことをちりばめながら書いた。あと分かりやすさが大事かなと思った、ロックンロールをやる時」
歌詞は不良っぽい王道のロックンロールだが、「Rock’n Roll Radio」には「戦争にも政治家にも負けやしないぜ」という歌詞がある。
「メッセージが政治的になりすぎないように」しているというnaoだが、「ロックを聴く若者とか、ずっとロックを聴いてた人たちの心に火をつけるようなことができたらいいな」と、ロックが本来持っていたレベル・ミュージックの性質も絶やさないでいる。
「カナリア」の歌詞も、戦争や環境問題など危機的な世界の現状を反映したような内容で、戸城は「声上げなくちゃ籠の中でくたばっちゃうだけですからね」と不敵に笑った。
現在は国内外とも、ダスボンのような王道ロックバンドがチャート上位をにぎわすことはあまりない。戸城は「一応このアルバムで人気大爆発の予定なんで」と冗談めかしつつ、ロック復興への希望を捨てていない。
戸城「年取った人が多いからさ、(ライブに)来る人もね。今はもういないんだろうけど、ロック兄ちゃんとかロック姉ちゃんが来てほしいな、バンドやってる子とかに来てほしいよね」(デイリースポーツ・藤澤浩之)
