【野球】「神の子」田中将大は復活できるのか NPB復帰後20勝32敗と苦しむ35歳 評論家が分析するカギとは

 日本球界復帰後の3年で20勝32敗。2013年には24勝無敗1セーブという驚異の数字を刻んだ楽天・田中将大投手が、2年連続でリーグ最多敗戦を喫した。11月に35歳を迎えた右腕は来季、復活を遂げられるのだろうか。

 かつて楽天を指揮した野村克也監督は「マー君、神の子、不思議な子」と評し、勝ち運に恵まれる神懸かり的なパワーに驚いた。

 破竹の24連勝で球団初の日本一に輝いた2013年を最後に7年間、米大リーグに身を置いた。21年に2年契約を結んで8年ぶりに楽天に戻ってきたが、同年が4勝9敗、昨年は自己最多敗戦となる9勝12敗と苦しみ、年俸は9億円から4億2500万減の4億7500万円の大幅ダウンとなった。(金額は推定)

 だが、今季も7勝11敗と2年連続でリーグ最多敗戦を喫し、防御率4・91は自己ワーストの数字となった。契約更改交渉は越年が濃厚となっているが、2年連続の大幅ダウンは避けられない状況。あと3勝に迫っている日米通算200勝は間違いなく達成するだろうが、「神の子」はかつての輝きを取り戻せるのか。

 阪神OBの中田良弘氏は「全盛期と比較するのは酷な話だけど、やっぱりいい頃と比べると球威が落ちてきた印象は否めない。バッターからすると、かつての『剛球』という印象が少しずつ薄れてきて、田中に対して怖さを感じなくなってきている部分があるから、昔と比べてボールに対して踏み込んでいるバッターが増えてるよね」と、被安打数、被本塁打数が増えている要因を解説した。

 中田氏は続けて、田中が苦しんでいる理由のひとつに捕手の経験不足を挙げた。「今年は24試合中16試合で2年目の安田とバッテリーを組んだけど、田中にしたら『安田を育てなきゃ』という意識もあるだろうから、なかなか自分のリズムであったり、思い描く配球で投げることができなかったんじゃないかな」と指摘した。

 では、マー君が復活するために必要なものとはなにか。「やっぱり真っすぐのキレを取り戻すことだろうね。今年はスピードガンでは150キロ近い表示が出てても、実際にその速さが感じられることが少なかった。35歳をいう年齢を考えると、なかなかここから球速をアップさせることは難しいと思うけど、キレを出すことは可能。そうすれば変化球が今より生きてくる。テクニックはあるわけだから、真っすぐにキレが出てくれば。あとはバッターの踏み込みを甘くさせるために、今までよりインコースを使うタイミングを変えてみることも必要」と語った。

 また、捕手の経験不足を逆手に取るプランも提案した。「今までは自分の描いた配球を捕手に引き出させようとした部分もあるだろうけど、思い切って捕手のサインに一切首を振らず、全部指示に従ってみるのもひとつの手。僕もかつて経験したんだけど、苦しんでいる時ほど、人の意見に耳を貸すことで新しい発見があるものだから」と助言した。

 名球会入りは通過点。11年ぶりのリーグ優勝を目指す来季、「神の子」が先発投手陣の軸となる返り咲きに期待したい。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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