【野球】大谷翔平の二度目の手術に思う もし楽天・田中将が、あのとき靱帯再建術に踏み切っていれば今も無双だったのか

 エンゼルス・大谷翔平(29)の二度目の右肘靱帯(じんたい)損傷に思う。もし、楽天・田中将大(34)が、あのときトミー・ジョン手術に踏み切っていれば今も無双状態だったのだろうか。

 大谷の右肘手術が日米で話題になっている。一回目のケースとは異なり、本人のSNSでも術式が明らかになっていない。そのため、靱帯(じんたい)再建術の「トミー・ジョン手術」なのか、比較的に新しいとされる、人工靱帯(じんたい)「インターナル・ブレース」も用いた補強なのか-と、マスコミも連日報道を繰り広げている。

 100年に一人のプレーヤーだけに厳しいリハビリも乗り越えるのは間違いない。来季の開幕戦には打者として安打を放ち、2025年シーズンには投手としてもマウンドに立ち、二刀流として再び、メジャーを席巻するだろう。

 体にメスを入れるリスクはもちろんあるし、損傷の程度もある。右肘を痛めながら「インターナル・ブレース」を用いた手術で今季、完全復活したツインズ・前田健太(35)の投球をみると、考えさせられることがある。楽天の田中将の現在だ。

 2013年シーズン、楽天で24勝0敗、防御率1・27という無双状態でMVP、投手タイトルを総なめ。オフにはポスティングで総額1億5500万ドルの7年契約で2014年にヤンキース入りし、開幕からMLB最多タイに並ぶ、メジャーデビューから16試合連続のクオリティー・スタート(先発して6回を3失点以内)を達成。前半戦だけでも18試合に先発し12勝4敗、防御率2・51の好成績を挙げて選手間投票1位で球宴メンバーにも選出された。

 ところが、7月9日の右肘に違和感を訴えて15日間のIL(負傷者リスト)入り。10日には右肘の部分断裂で全治6週間と診断され、保存療法であるPRP療法でリハビリを行い、9月21日のブルージェイズ戦で復帰登板を果たしている。その後は細かい故障はあったが7年間で78勝46敗、防御率3・74の成績を残し、2年契約で楽天に復帰を果たしている。

 この段階で、近年は達成困難といわれる200勝まで残り23勝。田中将なら1シーズン目では無理でも、簡単に2シーズン目途中での達成するでは、と考えられていた。ところが1年目が4勝、2年目は9勝止まり。残り10勝に迫った今季も好投していても突然打ち込まれるケースが目立ち、22試合に登板し7勝。10敗はリーグワーストで、防御率も5・09だ。

 限界説も持ち上がっているが、そうは思わない。現在もヤンキースファンの間で語り草になっているポスト・シーズンでの勝負強さ、円熟した類いまれな投球術はまだまだ通用する。ただ心配なのは右肘の“勤続疲労”。マウンドに立ち続ける以上、再び故障に見舞われることがあるかもしれないことだ。

 肘の再建手術を受ければ、患部は故障前より強くなっているという。もし、ヤンキース1年目に再建手術に踏み切っていれば現在はどんな投球をしていたのだろうか。長年プロ野球を取材してきたが、田中将は関心を持ち続けたきた投手のひとりだ。それだけに考えてしまった。(デイリースポーツ・今野良彦)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

インサイド最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス