【野球】DeNA打線が見せた“我慢”とは?イメージが一変した才木攻略 阪神に与え続けた「振らないプレッシャー」

 「DeNA5-3阪神」(25日、横浜スタジアム)

 DeNAが同一カード3連勝で首位に立った。交流戦優勝の勢いそのままに-という印象もあるが、第3戦で見せた野球はここ数年のイメージを覆すものだった。

 DeNA打線の内容をひもといていくと、一つ見えてきたものがあった。それは才木に対して、右腕の持ち味でもあるフォークをつぶしたことだ。ボールゾーンのフォークを空振りしたのは全89球のうち、わずか3球。追い込まれる前に限れば、関根の第2打席のファーストストライクと伊藤の第1打席でカウント1-1から振ったものだ。

 才木のフォークは「Japan Baseball Data」によると空振り率が22・9%。12球団の規定投球回到達者ではロッテ・佐々木朗、オリックス・山本に次ぐ全体3位の数字であり、セ・リーグではトップだ。追い込んでからだけでなく、中間球でもフォークを有効活用してきたことで、才木はカウント有利に勝負を持ち込んでいた。

 その球種をDeNA打線は“我慢”した。実際にゲームを見ていても、目付を上にして“振らない”という意思を徹底しているようにも映った。

 フォークで空振りが奪えないことで、才木の投球は苦しくなっていく。ストレート、スライダーに頼らざるをえず、そこを狙い打たれた。ラストイニングの五回は結果球がすべてストレート。二塁打を放って追加点の起点となった牧はカウント1-1からのフォークをしっかりと見送り、続く直球をきっちりと仕留めた。

 これをチームとして徹底し、遂行したのであれば-。他球団側から見てきたこれまでのDeNA打線は“個人”が強かった。それを“組織”で攻略しようという意識が定着したとすれば、非常に興味深くも思える。

 かつて石井チーフ打撃コーチが広島のコーチを務めていた際、リーグ連覇を達成した時も、とにかく打線の徹底がすごかった。“振らないプレッシャー”をかけ続けられ、マツダスタジアムの空気と重なり、驚異的な攻撃力を発揮したのは記憶に新しい。

 直球の打率が高い宮崎を筆頭に、ストレートに強い打者がそろっていることも、こういった戦術がとれる要因かもしれない。才木は試合後「真っすぐがあんまり(相手に)効いていなかった」と振り返った。本人の感覚ではストレートでもっと押し込めれば、フォークで空振りを奪えていたという実感があったのかもしれない。

 7月に予定されている倉敷&甲子園での直接対決3連戦は週頭となるため、ローテーション通りに行けばDeNA打線と才木の対決は球宴以降になる見通し。阪神バッテリーも対策を練ってくる中、どう攻略していくのか。いずれにせよ両チームの対決は非常に興味深い内容になりそうだ。(デイリースポーツ・重松健三)

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