【野球】平日のロッテ、楽天がデーゲームだったのはなぜ? 監督、選手は賛否両論

 平日のプロ野球といえばナイターが定番だが、5、6日に楽天モバイルパーク宮城で行われた楽天-西武戦と、ゾゾマリンスタジアムでのロッテ-日本ハム戦はデーゲーム開催だった。(4日の楽天-西武戦は午後4時開始の薄暮開催)

 ロッテ球団広報室に問い合わせると「春休みですし、普段の平日のナイターでは見に来られないような方にも、この機会を通して見に来てもらえるきっかけにもなりますので」との回答を寄せてくれた。

 ファン層の拡大はもちろん、野球は好きだけどナイターだと仕事や学校の都合で球場に足を運べないというファンのためを思ったプロジェクト。2005年に背番号「26」をファンのための番号として永久欠番にし、試合中は背番号「26」のユニホームをベンチに掲げるなど、常にファンに寄り添うロッテならではの発想ともいえる。

 監督や選手にも好評だ。6日の日本ハム戦に先発して6回1安打無失点、11奪三振の好投で今季初勝利を挙げた佐々木朗は「子どもだけじゃなくて、ロッテファンも開幕3連敗して苦しい中で借金を返せて、これからまだまだやっていけると思うので、そこら辺も含めて今日勝てて良かったなと思います」と語り、吉井監督も「はじめは何でこの時期(の平日)にデーゲームなん?と思ったんですけど、春休みで小さい子がたくさん来てくれたので、そういう意味で野球をやるきっかけになってくれたらいいなっていう風に思ってます」と、減少傾向をたどる野球人口の裾野を広げる意味も含めて好意的に受け止めた。

 一方、宮城県に本拠地を構える楽天は、寒さ対策としてデーゲーム開催を打ち出している。東北という土地柄、この時期のナイター開催は気温がグッと下がることが予想されていることもある。ただ、5日の午後9時時点の気温がプレーに支障のない16度と高かったこともあってか、石井監督は「もうちょっと(試合開始が)遅い方がいいですね。ホームで13時って、結構選手の準備も早くなるので、そこはちょっと(試合開始時間が)早いかな」と否定的な考えを示した。

 午後1時開始となれば、ホーム球団の練習開始時間はおよそ4時間前の午前9時。朝起きて、食事を取って球場入りし、体をほぐし、温める時間を確保することなども考えれば、遅くとも練習開始の1時間前となる8時には球場に到着している必要がある。石井監督は選手の肉体面での疲労などを考慮し、西武3連戦の初戦に設定された午後4時開始ぐらいが適当なのではないかとの私見を示した。

 楽天-西武3連戦の観客動員は初戦が2万4365人、2戦目が2万1526人、3戦目が1万9034人だった。ロッテ-日本ハム3連戦では初戦が2万6610人、2戦目が2万3570人、3戦目は佐々木朗が先発した効果もあってか、2万6169人が球場に詰めかけた。仕事帰りのサラリーマンの集客は見込めなかったものの、ナイター開催時と変わらないファンを呼び込み、次回来場につながる新たな客層を開拓できた可能性はある。

 一方、関西に居を構える阪神球団関係者は「気候的にそこまで寒くないので」と平日のデーゲーム開催には否定的な方針を示し、その理由として「平日は圧倒的にナイターを楽しんでくれる方が多いので」というデータに基づいた判断もあることを示した。

 かつて日本シリーズはデーゲーム開催で、学校の給食時間に教室のテレビをつけてみたり、授業中に制服の袖からイヤホンを伸ばしてラジオ中継を聞いた記憶がある。

 WBCで3大会ぶりの世界一を奪還し、野球人気再燃の兆しが漂う昨今。この熱を一過性で終わらせないためにも、各球団の新たな取り組み、斬新な企画という側面も求められている。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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