【野球】DeNA・三嶋の10球 国指定の難病からの復活劇「次に進める第一歩」 昨年5月以来、再出発のマウンド

 目指してきたマウンドまでの道のりを、DeNA・三嶋はかみしめながら向かった。「おかえりなさい」の思いが左翼席から拍手と歓声になって届く。力強く踏み出した復帰の大きな第一歩。「これから前に進むだけだなという気持ちでいっぱいです」。さぁ、再出発だ。

 1日の阪神戦(京セラドーム大阪)。出番は同点で迎えた六回だった。先頭の梅野のバットをへし折ったが、中前へとはじき返される。1死二塁とされると、代打・渡辺を空振り三振。近本との対戦を迎えた。すると3球目。左前に運ばれるが、ここで左翼・佐野がホームへ好返球。仲間の好守に助けられ、2安打無失点で自らの仕事を終えた。

 昨年5月7日広島戦(マツダ)以来となる、復帰戦でもあった。前屈ができなくなるなど、徐々に感じ始めた体の異変。同8月には国が難病に指定する「黄色じん帯骨化症」の手術を受けた。そこから始まったリハビリの日々。都内での入院時も「みんな戦っているな、と。投げっぷりに熱を感じました」と勇気をもらい、戦った。

 同じ病気を抱える先輩らに話を聞きにいくたびに、現実を見た。「症状が完璧になくなる人は誰ひとりいなかったんですよね…」。周囲からは「もう野球はできないんじゃないか」と何度も言われたという。だが、不思議とリハビリは楽しかった。「やっと動けるんだ」と日増しによくなる自分自身が、原動力に変わっていった。

 今年1月には恒例の厚木自主トレに参加できるほどになった。オープン戦でもアピールを続け、勝ち取った開幕1軍切符。守護神の経験もある右腕の復帰は、ブルペン陣にとって最強の補強となった。シーズン前には木塚投手コーチから「どんな場面でも、負けても勝ってもチームを救ってくれ」と声をかけられ、奮い立った。

 帰ってきたマウンドで、同点の場面を任された。試合に敗れはしたが、記憶に刻まれた三嶋の10球。「最後は佐野に助けられて、結果ゼロだったので。1試合目でホールドもつきましたし、次に進める本当に第一歩だと思いました」。幕を開けた野球人生第2章へ。苦しみを乗り越え、誰かのために戦う姿は大きな力を発揮すると信じている。(デイリースポーツ・松井美里)

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