【相撲】貴景勝の優勝で大関不在が現実味 待たれる横綱昇進を視野に入れた強い大関の誕生

 大関・貴景勝の優勝で、いよいよ大関不在の番付が現実味を帯び、待たれるのは横綱昇進を視野に入れた強い大関の誕生か。

 大相撲の初場所(両国国技館)は22日に行われた千秋楽結びの一番で、平幕・琴勝峰との相星決戦を制した貴景勝が13場所ぶり3回目の優勝を飾った。これにより、春場所(3月12日初日・エディオンアリーナ大阪)は、貴景勝の綱とり場所になるといわれている。

 横綱昇進には複雑な手続きがある。番付編成を所管する審判部が、春場所後に貴景勝を横綱の昇進させたいと考えた場合、佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)が八角理事長(元横綱北勝海)に対し、貴景勝の横綱昇進を審議する臨時理事会の招集を要請。八角理事長は横綱審議委員会(高村正彦委員長)に貴景勝の横綱昇進について諮問する。横審はこの諮問を受け「大関で2場所連続優勝またはそれに準ずる成績」という内規等に照らして品格や力量等を審査。出席委員の3分の2以上の賛成が得られた場合、八角理事長に貴景勝の横綱昇進を答申する。この答申を受けて八角理事長が再び臨時理事会を招集し、横綱昇進が決議されるという手順だ。

 貴景勝は昨年11月の九州場所でも優勝こそ逃したが12勝3敗の好成績で優勝決定ともえ戦に進出。安定した成績を上げており、持病となっている首の状態さえ悪化しなければ、横綱昇進のチャンスは十分だろう。

 そうなると問題がないわけではない。今場所は125年ぶりの1横綱1大関となった場所で、番付上は横綱照ノ富士が横綱大関と表記された。貴景勝が横綱に昇進を果たせば、現状では大関が不在となり、照ノ富士と貴景勝の2力士が横綱大関と表記される番付が出来上がることになるだろう。1981年(昭和五十六年)7月場所後、大関千代の富士が横綱昇進を果たしたため翌9月場所では大関が不在となり、番付上では北の湖と千代の富士の2力士が横綱大関と表記された。それ以来となる可能性がでてきたことになる。

 相撲記者だったころ武双山(現藤島親方)、魁皇(現浅香山親方)、出島(現大鳴戸親方)、千代大海(現九重親方)、雅山(現二子山親方)の5人が大関に名を連ねた時代があった。中でも当時の武蔵川部屋(元横綱三重ノ海)には武双山、出島、雅山の3大関が在籍していた。そのため、部屋の関係者や若手力士たちは単に「大関」と呼びかけると、同時に振り向かれることもあるため、呼び名に苦労していたこともあった。

 その時代を知るだけに正代や御嶽海、高安、栃ノ心、朝乃山らが陥落し、大関不在となる可能性が出てきたことは信じられない。横綱大関の上位陣が強いことが必要だが、若い三役力士や平幕力士が強い横綱、大関陣に力いっぱいぶつかっていき、番狂わせを演じることがあるからこそ、盛り上がることもある。

 何も大関昇進の条件を甘くして力が伴わない力士を昇進する必要はない。一日も早く横綱を目指せる強い大関の誕生を願うばかりである。(デイリースポーツ・今野良彦)

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