【野球】ロッテ・佐々木朗と白井球審の“トラブル”で日本でもロボット審判論争勃発か!?
ロッテ・佐々木朗希(20)と白井一行審判(44)の“トラブル”で、日本でもロボット審判論争が勃発するのだろうか。
24日のオリックス-ロッテ戦(京セラ)での一件が、物議を醸している。
ニ回2死一塁、カウント0-2から佐々木朗が投じた3球目がボールと判定されたことが発端だった。この判定に対する佐々木朗の表情が不服と映ったのか、白井球審がマスクを取り、マウンドへ詰め寄ったからだ。
女房役の松川虎生(18)が間に入ったため、それ以上の事件には発展しなかったが、これにより日本プロ野球(NPB)でもロボット審判の導入論争が過熱するかもしれない。
現在、NPBでは4人の審判団が試合をジャッジしている。だが、MLBでは今季から3Aの試合で自動ストライク判定システム(ABS)、通称「ロボット審判」を導入されている。
これまでストライク、ボールの判定は、球審の「聖域」だった。MLBの「チャレンジ」、NPBの「リクエスト」もそれに異議を唱えることは認められていない。
だが、現在は映像化が進み、テレビ観戦していても、1球1球の判定がテレビ映像から映し出される。ときとして明らかに「誤審」と分かるような判定もあり、球審が糾弾されることが増えている。しかも、その糾弾がSNSやネット配信などを通じて、それこそ全世界に拡散される。そしてストライク、ボールの判定が今回のような大騒動に発展する。
別にこのシステムの導入を叫んでいるわけではない。現段階では問題が多いからだ。ABSは動画を撮影によってストライク、ボールの判定をする。その精度は「誤差4分の1インチ(約6・35ミリ)内」といわれている。だが、それは最適な条件が整った場合で、天候や設置されたカメラのアングルによっても左右される。甲子園、ZOZOマリンなどドーム球場ではない場所では当然、リスクも出てくる。
また、これらの問題点が解消されても、野球の醍醐味(だいごみ)のひとつを失う恐れもある。導入されれば捕手の技術であるフレーミングが楽しめなくなる可能性があるからだ。楽天の田中将大が日本球界に復帰する際、捕手のフレーミングを重視する発言をしていた。
フレーミングとは簡単にいえば「ストライクかボールか際どいゾーンにきたボールを、球審にストライクと判定させる技術」のこと。だが、ABSが導入されれば野球ファンの中に根強くある「フレーミングもゲームの一部」という声も無視されることになる。
MLBとパートナーシップを結んでいる米独立リーグのアトランティック・リーグでは、今季からはこれまで採用していたABSによるロボット審判を止めた。まだまだ球界全体が導入に流れには至っていないのが現状だ。
だが、今回の佐々木朗と白井球審の一件を境に、議論だけは開始する時期にきているかもしれない。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)