【野球】田口コーチが語った震災から27年 「風化させない」思い新たになった神戸での昨季日本S

 オリックス・田口壮外野守備走塁コーチ(52)には、阪神・淡路大震災から27年がたった今でもトラウマが残っている。

 「最初は『ドンッ』という音がして、縦に揺れたような感じで、そこからマンションがグワーッと横に揺れた。マンションが折れると思ったんですよ。折れて、そのまま死ぬんやろうなと」

 あれから、27年がたっても「ドンッ」という音には恐怖感を覚えるという。家やホテルの扉が大きな音で閉まると、「いまだにダメですし、ドキッとするし、寝ていたら起きる」とトラウマになっている。

 震災から27年がたち、黙とうをささげた1月17日に被災した状況を報道陣へ詳細に伝えた。今年の新入団選手で、最年長は24歳。阪神・淡路大震災が起きた1995年に生まれていた選手は一人もいない。現役選手でも少なくなってきた。記者も23歳で、当時のことは伝え聞いたことしか知らない。

 田口コーチは「知らない子たちは、この日(1月17日)を迎えるにあたってはなかなか難しいと思う。ただ、そういうことを経験してきた球団だということは、みんなに理解してほしい。そういう歴史があるというものは、大事にしてもらいたい。機会があれば、話はしたいと思います。風化させていくわけにはいかないので」と後世に伝えていく考えを示した。

 田口コーチは現役時代に95年、96年と連覇を達成。オリックスは復興のシンボルとなっていた。

 「明るい話題や希望がないとやっていけないみたいな部分があった。本当にそれだけで何とか生きていけるというか。そういう話題があるだけで、街が活気づく。それをすごく感じたんで、やらなあかん、何とかしたいなって思いは強くなりましたね」

 そして、昨季はほっともっと神戸で日本シリーズを戦った。

 「月日がたって、まさか一塁ベースコーチャーのところで、ああいう経験をするとは思っていなかった。あそこから見た光景っていうのは、27年前を思い出す感じがした。風化させないためにも、あの1試合っていうのは大きかったのかなという感じがしましたね」

 田口コーチにとって、風化させないためのスタートラインに立った。「もう一回、一つになって前へ進むという一つのきっかけになる」-。25年ぶりに果たしたリーグ優勝。そして、神戸のファンに目の前で見せた日本シリーズの戦い。これは、震災を風化させないための貴重な一戦になったと語る。

 「僕の中では、一生変わらない思いが神戸にはある。そこだけは伝えたい。常に一緒に戦ってますし、常に一緒にいたいと思っています」

 昨季の日本シリーズでは「神戸に帰ろう」の合言葉が、チームの背中を押した。オリックスには、神戸の思いが根強く残っている。(デイリースポーツ・今西大翔)

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