【芸能】コロナ禍でレジェンドに起きた進化 カシオペア3rd・野呂一生に聞く

 カシオペア3rdの(左から)鳴瀬喜博、大高清美、野呂一生、神保彰
2枚

 Jフュージョンを代表するバンド、カシオペア(現在はカシオペア3rd)が11月3日、初の配信限定アルバム「BEST FEEL UP SONGS LIVE “CASIOPEA”1st-3rd Term」をリリースし、続けて今月1日には「PRECIOUS BEST」をリリースした。リーダーでギタリストの野呂一生(64)に、令和の新時代、そしてコロナ禍を生きるカシオペア3rdについて聞いた。

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 カシオペアがデビューした1979年は、レコードとカセットテープの時代だった。今や配信のみのアルバムを発表し、このインタビューもZOOMで行われる時代。野呂は「時代は変わったなって感じはします。こういう形での取材っていうのも、時代は変わったんだと思います」と感慨を口にした。

 最新の媒体には「疎い方」だというが、コロナ禍で変わった。

 「3年くらい前までは、テレビがつけられない、昭和のおじいちゃんみたいなものだった。それがこの2年くらいで急激にこういうものを使うようになった。僕は東京音大で教えているんですが、リモート授業をやらなきゃならなくなって、プリンターを購入して譜面をPDFで送ったり、そういうことをやらざるを得なくなって、やるとなると人間やるもんですよね。YouTubeに動画をアップしたり。やっと自分も現代人になれたなという気がします」

 今回のリリースは、第1弾がカシオペア3rdのライブベスト、第2弾がカシオペア3rdのオリジナルアルバム5作からのベストとなる。カシオペアの活動歴は77~89年の第1期、90~2006年の第2期、12年からの3rdとなっており、3rdの音源のみとなる今回の2作は「これで一番近来のカシオペアを感じていただければ」と編まれた。

 1期、2期と3rdの性格の違いを、野呂はこう説明する。

 「3rdを立ち上げたきっかけは震災(東日本大震災)の後でした。少しでも音楽好きの方たちが元気になってくれればと、極めてエンターテインメントを重視した作りでやっていこう、とにかく楽しめる作品をと。第2期までと根本的な志向が違います。エンターテインメント性を重視した曲作りを聴いていただきたい」

 グループとしての変化、進化もある。

 「身体は退化しているので(笑い)、余分な力を使わないでどれだけ効果的に音を出せるか、そういう方向になりつつあるし、自分で思っているゴリ押しがなかなかきかない年代。それをフレーズの深みであったり、若い頃は知らなかった理論的なものとか、そういうものを全面的に出していく形に(して補っている)」

 「大高(清美)さんのオルガンの存在感も大きい。彼女が加入したことで、またひとつの違う味わいを出せるようになってきている。いわゆるフュージョンと呼ばれるものはほぼエレピ、アコピがメインですからね。それ(オルガン)がメインとなって、主客転倒というか、入れ替わった感じがありますよ」

 野呂は「カシオペアはいつも実験的なものだった。こういうのをやってみたらどうなるか、そういうものを続けていたら、40年たっちゃった」と振り返り、「今でもそういう意識を持っています」と補足。これからのカシオペア3rdについて「体力が続く限りはこのスタイルでやっていこうと思っています。長いステージになるとちょっとキツいなという時はありますけどね(笑い)。自分たちのスタイルをこれからも貫き通すことができればと思っています」と語った。(藤沢浩之)

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 【東名阪ツアー】

 12月12日=東京・EX THEATER ROPPONGI※終了

 12月25日=名古屋・ボトムライン

 12月26日=大阪・BIG CAT

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 カシオペア3rd 79年にカシオペアとしてレコードデビュー。当時のキャッチコピーは「スリル・スピード・スーパーテクニック」。メインソングライター・野呂一生(ギター)の親しみやすいメロディーとバンドの超絶テクニックでフュージョンブームをけん引。現在は12年始動の「カシオペア3rd」。メンバーは第2期(90~06年)の野呂と鳴瀬喜博(ベース)に大高清美(キーボード)が加わり、スペシャルサポートでオリジナルメンバーの神保彰(ドラムス)が入っている。

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