【スポーツ】85歳のボディビルダーが日本選手権出場へ「全国のおじいさん、おばあさんの模範になる」

 広島のスーパーボディビルダー、85歳の金澤利翼さんが10月10日に開催される日本ボディビル選手権大会(メルパルクホール東京)に出場する。85歳での出場は大会史上最年長記録。「人間はいくつになってもチャレンジできる。100歳まで元気に生きて、全国のおじいさん、おばあさんの模範になる」と張り切っている。

 ◇ ◇

 これまで1960年と63年に日本選手権で優勝している金澤さん。今回は歴代チャンピオンの資格でエントリーした。同大会に出場するのは72年以来49年ぶり。出場を決めたのは「85歳は私にとってボディビル人生の節目だから」と説明。「私が出場することで、ボディビルは年齢に関係なく何歳になってもできる生涯スポーツだということを多くの人に知ってもらいたい」と競技普及への思いも明かした。

 9月19日に行われた40歳以上が参加する日本マスターズ選手権で13回目の優勝を飾ったばかりで、体はすでに仕上がっている。マスターズ選手権は年齢別でカテゴリーが分かれていたが、日本選手権は区分がなく(オーバーオール)、全員が同じ土俵で争う。「結果は分かっている。若い選手に交じっていい結果を出せるわけがないからね。(1次予選の)規定ポーズでカットされて終わり。あとは観客席で見ることになるが、85歳で日本選手権出場という歴史は私にしか作ることはできない。そこに大きな意味がある」と胸を張って大舞台に挑む。

 ボディビルダーは体が資本。食事には強いこだわりがあり、50歳の時から玄米ご飯、納豆、みそ汁しか食べていない。肉や魚、野菜は一切口にせず、タンパク質はプロテインで補給、足りない栄養素もビタミン剤で補う。この食事を始めてから病気知らずで病院にも行ったことがない。「日本食の素晴らしさを伝えていくことも私の役目。玄米、納豆、みそ汁だけで、これだけの体をつくることができる。そのことを皆さんに知ってもらいたい。死ぬまでこの食事は続けていく」と信念は揺るがない。

 日々のトレーニングは胸、背中、腕、脚など曜日ごとに鍛える部位を決め、休憩を挟みながら1日2時間、器具を使って強化する。18年前に妻・和子さんを亡くしてから1人暮らし。食事や洗濯、掃除など身の回りのことは全部こなす。趣味は映画鑑賞。週末に映画館へ足を運び、英会話の勉強も兼ねて洋画を鑑賞する。ボディビルダーに欠かせない日焼けは、広島マリーナホップの海岸で岩国基地の米軍ラジオを聞きながら日光浴。しわ予防のために馬油のクリームを愛用している。

 「90歳までは選手として頑張りたいと思っている。ヨボヨボのおじいさんにはなりたくないからね。最終目標は頭もしっかりした状態で100歳を元気に迎えて、全国のおじいさん、おばあさんの模範になること」と力強く話した。今回の日本選手権出場も通過点。スーパーボディビルダーの不老長寿の挑戦はこれからも続く。(デイリースポーツ・工藤直樹)

 ◆金澤利翼(かなざわ・としすけ)1936年8月29日生まれ。島根県出身。広陵高を経て広島修道大短期学部卒。学生時代は競泳選手。20歳からボディビルを始め、日本選手権で2度優勝。36歳の時に一度引退したが、50歳で復帰し、日本マスターズ選手権で日本一に13度輝く。現在は「広島トレーニングセンター」(広島市中区)の会長を務め、広島県ボディビル・フィットネス連盟の理事長としても競技の普及に尽力する。だじゃれ好き。164センチ、63キロ。

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