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【野球】巨、神、ヤの三つどもえペナントレース 元広島・阿南監督を思い出す

阿南監督(左)と北別府投手=1986年
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 巨人、阪神、ヤクルトの三つどもえペナントレースに、1986(昭和61)年、新人監督ながらセ・リーグのペナントレースを制覇した元広島の阿南準郎監督(83)のことを思い出した。

 2020年シーズンは最下位に沈んだヤクルトも今季は好調で9月に突入した時点で、逆転Vを狙える位置に踏みとどまっている。まさに3チームどこが優勝するのか分からない状況だが、私は86年の広島がだぶった。この年は勇退した名将・古葉竹識監督(85)の後を受け継いだ阿南準郎さんが、チームを2年ぶりのセ・リーグ優勝に導いた年だった。

 広島は後半戦突入時点で巨人と5・5ゲーム差。8月終了時点でも巨人とは2・5ゲーム差あり、9月に入ってからもその差が縮まらなかった。だが、9月23日にマジック14を点灯させるとそのまま走り、見事に逆転優勝を飾った。だが、当時担当記者だった私は、9月に入った時点で、広島の逆転優勝に疑心暗鬼で、優勝原稿などの準備をあまりしていなかった。

 今思い出すと赤面の限りだが、そんな最中、私と他社の先輩記者が、阿南さんに「さすがに優勝が難しくなってきましたね」とばかな質問をぶつけてしまったことがあった。

 以前から広島を担当しており、阿南さんをコーチ時代から取材している気安さもあった。よく雑談の相手をしてもらったのだが、このときの阿南さんは「優勝を考えない監督がどこにいる」と真剣な顔で反論。「俺は絶対に優勝すると思っている。そんなことはありえないが、優勝できなかったらどんなことでもしてやる。その代わり優勝したらペナルティーだ」と提案してきたのだ。

 そのペナルティーというのが、私が大学時代から伸ばし続け、就職活動中、そして就職してからも一度もそったことのない口ひげをそること、先輩記者は頭を丸めておわびするというものだった。

 最終的に広島は優勝。口ひげをそった私と頭を丸めた先輩記者の2人は、広島市民球場のベンチで「私たちの負けです。すいません」と大勢の人の前で頭を下げるはめになっていまった。

 阿南さんといえば、こんな思い出がある。就任1年目の沖縄・コザでのキャンプ中のことだったと思う。担当記者の何人かで、私たちがいつも飲んでいた店に呼び出したことがあった。そこで話を聞くつもりもあったが、実はあるイタズラを仕掛けるためだった。

 そのイタズラというのは小学生レベルのもの。雑談の最中に、店のスタッフに「監督、お電話です」と呼び出してもらい、阿南さんが電話に出ると当時あった「私、リカちゃん」という、あのリカちゃん人形の声がテープが流れるというものだった。だが、阿南さんは、このイタズラに乗ってくれた。「そうリカちゃんっていうんだ」と一人芝居をしてくれた。ちゃめっ気たっぷりな人だった。

 阿南さんが勇退してからはすっかりご無沙汰してしまい、お会いする機会もなくなった。だがあのとき以来、私は口ひげをそったことはない。それだけに、鏡に映った自分をみると当時の記憶が鮮明によみがえってくる。(デイリースポーツ・今野良彦)

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