【野球】もし長嶋監督、野村ヘッドの侍JAPANなら ノムさんの荒唐無稽プランに思い馳せる

ヤクルト監督時代の野村氏と巨人・長嶋監督
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 もし、長嶋監督、野村ヘッドが指揮を執る侍JAPANなら、あっさり金メダルが獲れていただろうか。

 正式競技として初の金メダルを狙う日本は、2日の決勝トーナメント準々決勝・アメリカ戦で延長十回タイブレークで劇的なサヨナラ勝ちを飾り、準決勝進出を果たした。

 準々決勝は、最終的にベンチワークが勝敗の明暗を分けた試合だったと思う。無死一、二塁で始まる延長十回のタイブレークでアメリカのマイク・ソーシア監督は強攻策で、無得点に終わった。さらに、サヨナラの場面では内野手を5人で守らせ、しかも前進守備を敷いた。

 一方、稲葉篤紀監督は代打・栗原陵矢に犠打を命じて、好機を拡大させた。

 この両監督の采配を「勝ちに不思議な勝ちあり。負けに不思議な負けなし」と話していた故野村克也氏ならどう分析しただろうか。と同時に、私がヤクルト担当記者時代にノムさんが口走った、夢物語のような“仰天プラン”の首脳陣なら、どんな采配になっていただろうかと思った。

 私は1992年、野村ヤクルトの担当だったが、94年から巨人担当キャップとして長嶋番記者になった。当時、両チームの対戦は公式戦だけでもホーム、ビジターを会わせて計26試合あった。だが、巨人担当になってからも、試合前には毎回ヤクルト側のベンチの出向き、ノムさんにあいさつするのを常としていた。

 一度、仕事が立て込み、この“儀礼”を欠いたところ、後々「お前も偉くなったな。あいさつにも来ん」としかられた。ただ、あいさつに行けば行ったで「長嶋番になったら、着るもんも違うな。オレのときは汚い格好をしていたくせに、今はスーツ姿か」と皮肉られたが…。

 95年のシーズン中だったと思う。前年は日本一に輝いた長嶋巨人だったが、この年は、5月24日の試合で桑田真澄がダイビングキャッチの際に右ヒジを負傷。戦線離脱するなど不運が重なり、野村ヤクルトの後塵(こうじん)を拝したシーズンだった。

 恒例の野村詣をした際の話である。「巨人はうらやましいほどの戦力は整っているのに、なんでウチが首位なんだ。いい作戦参謀がいないのか?」と、いきなり言われたことがあった。

 その質問に口ごもっていると、ノムさんはこう続けたことをハッキリと覚えている。「長嶋に言っといてくれ。オレを“巨人の作戦参謀、ヘッドにしてくれ”と。長嶋監督、野村ヘッドなら絶対、巨人を日本一にしてみせる」-。

 ノムさん流のジョークで、荒唐無稽な話でしかない。だが、なにかの拍子に直接ミスターにこの話をぶつけたことがあった。そのときのミスターの反応は「ノムさん、そんなこと言ってんの?」と、ハトが豆鉄砲を食らったような顔だったことを覚えている。

 かつてノムさんは「ONがヒマワリなら、オレは月見草」という名言を吐いたことは知っているし、担当記者時代にも何度か聞いた。それだけに、巨人では夢物語でも、侍JAPANでヒマワリと月見草が並んで咲き誇り、指揮を執るチームを見たかったような気がする。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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