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【野球】もし大谷翔平に野村IDをインプットしたら “荒井ポカリ事件”の7月5日に思う

エンゼルス・大谷(提供・共同通信社)
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 もし、エンゼルスの“二刀流”大谷翔平(27)に、故野村克也の「野村ID野球」のエキスを注入したら…。漫画のキャラクターでも描かれない、どんな荒唐無稽なスーパー野球超人になっただろうか。

 エンゼルスの大谷が現地4日のオリオールズ戦で、松井秀喜に並ぶMLB日本人最多タイの31号本塁打を放った。また、選手間投票で投手でも球宴に出場することにもなった。

 このニュースに1972(昭和47)年から76(昭和51)年まで『週刊少年ジャンプ』で連載された野球漫画『アストロ球団』を思い出した。故沢村栄治の遺志を受け継いだ9人の超人たちが「打倒アメリカ大リーグ」などを目標を掲げ、世界最強の野球チームの結成を目指して戦う。だが、全世界のプロ野球組織から危険視され野球ができなくなり、最後は対戦相手を求めロケットで旅立つ物語である。

 子どものころでも、さまざまな魔球や必殺技を繰り出す超人の活躍を「漫画だから」と思っていた。だが、大谷ならこの球団でも活躍できるのでは-と思わせてしまう。

 実は、ノムさんの顔が思い浮かんだのは、7月5日だったからである。野村ヤクルトを担当していた私は92年7月5日、神宮球場で行われたヤクルト-巨人戦を現場で取材していた。4対4で迎えた九回裏一死満塁。サヨナラのチャンスだった。代打に送られたのは荒井幸雄。確かスクイズのサインが出ていたはずである。だが、極度の緊張からか、打席に入った荒井の挙動がおかしく、思いあまったノムさんがベンチを飛び出して注意。引き上げる際に荒井の頭をポカリとたたいた。“荒井ポカリ事件”である。

 沈着冷静な指揮官が感情をむき出すにするのは珍しい。しかも、一部で残っていた“愛のムチ”と称する指導を嫌っていた人である。当時、自分が書いた原稿を読んでみると、試合後、ノムさんは「何をやっているんだ。真っすぐしかないやろ。もっと集中しろ」と状況を説明している。

 後日、「あのときは冷静さを欠いていた」と荒井に謝罪しているが、経験や勘ではなく、データを駆使して科学的に進めていくID野球を推し進めていたノムさんらしからぬ行動だった。

 もし、ノムさんがこのID野球を大谷にたたきこんだら、どこまで成長するのだろうか。元々、ノムさんは二刀流には先進的な考えをもっていた。南海(現ソフトバンク)の兼任監督時代の71年。ドラフト1位で入団させた島本講平(68)に「一人で二役でも三役でもできたら最高や。それを今試しているのや」と二刀流キャンプを命じた。オープン戦でも投手として起用したが通用しないと判断。本人の希望もあり、野手に専念することになった、と聞いた。

 ノムさんは「野球は頭」が口癖だった。担当記者に対してもID野球の一端を教えてくれた。「三塁走者がホームインするには、ヒット以外にどんなケースがあるか?」となどと質問を浴びせ、その後解説してくれたりもした。

 大谷×ノムさんの化学反応がみたかった-。そう思うのは私だけだろうか。=敬称略=(デイリースポーツ・今野良彦)

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