【野球】ヤクルト、阪神で活躍のワニ男・パリッシュならダービーをどう予想する?

 阪神時代のパリッシュ
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 5月30日に東京競馬場で日本ダービーが行われるが、ワニ男・パリッシュなら今回はどう予想するのだろう?

 プロ野球関係者に競馬ファンは多い。ハマの大魔神・佐々木主浩さんやDeNAの三浦大輔監督などは、JRA(中央競馬会)の競走馬のオーナーである。

 私も競馬好きだったため、よく関係者や選手と競馬談義をした。ダービーともなればチーム関係者に「馬券を買ってきて」とお使いを頼まれ、場外馬券売り場に向かったものである。

 実は外国人選手の中に大の競馬ファンがいた。メジャー通算256本塁打の記録を持ち、ヤクルト、阪神に在籍し「ワニ男」の愛称で親しまれたラリー・パリッシュである。

 私がパリッシュを担当したのは1990(平成二)年の阪神時代だった。本塁打王とベストナインに輝いた前年のヤクルト時代は「ワニの肉が大好物」という話とベンチで大暴れした話ばかりがクローズアップされた。だが、高知・安芸キャンプに合流する際に「高知競馬場に寄りたい」と聞き、相当な競馬好きであると分かった。

 パリッシュは野球の話はあまりしたがらなかった。だが、競馬の話になるとうれしそうに乗ってきた。

 そこで、週末にスポーツ紙と競馬専門誌を甲子園球場に持参。試合前練習が終わると、一塁側ベンチでのレース検討会が始まった。

 彼の予想ファクターはスピードだった。日本語で書かれた馬名は読めなかったが、万国共通の数字でしるされたレース中のタイムに注目していた。それを丹念にチェックし「この馬はスピードがあるからいい」「この馬はスピードがないからダメだ」と分析して教えてくれた。

 そんなことが何回か続いたある日のこと。確か5月19、20日の東京ドームで対巨人2連戦だったと記憶している。東京に住む競馬ファンならおなじみかもしれないが、東京ドームの近くに通称「黄色いビル」と呼ばれる大きな場外馬券売り場がある。そこで球場入りする前の時間を利用し、実際に競馬を楽しもうという話になった。

 ナイターだったため、確か待ち合わせは午前11時ぐらいだったと思う。190センチ、90キロ以上の大柄な男がスポーツ紙を手に時間通りに現れたときは笑ってしまった。今でもアメリカ人が場外馬券売り場にいる姿を目撃した人はあまりいないだろう。だが、それが人気チームの助っ人外国人とはあまり気がつく人はおらず2、3レース楽しんで「また球場で」と別れた。それから何度か、広島などの遠征先でも待ち合わせして、競馬を楽しんだ。

 だが、左ひざの古傷が悪化の一途をたどっていた。ニーブレースというひざの補強器具をつけていたが、靱帯(じんたい)の痛みがひどくなり、その時点でセ・リーグ1位の28本塁打を記録しながら突然引退。8月30日には伊丹国際空港発の飛行機で帰国することになった。

 その際、空港の特別待合室で彼に馬をモチーフにした物をプレゼント。「また競馬しような」と握手して別れたが、実現していない。彼なら今年のダービーをどう予想するのか、聞いてみたくなった。(デイリースポーツ・今野良彦)

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