【野球】阪神・大山が追い求める技術「空振りできる技術」

 阪神の対外試合初戦となった8日の中日戦、大山悠輔内野手(25)が四回の第2打席で外角球を力強く引っ張って左前にはじき返した。「外角のボールをレフト方向に引っ張ることを意識していました。今まではスベってファウルになったりしていたんですけど」。この言葉に課題克服への手応えがにじんでいたように思う。

 開幕を4番で迎えた昨年、バッティングカウントでのミスショットが目立つと指摘された。勝負所で逆方向を意識したようにスイングするシーンもあった。夏場には打率も落ち込み、8月10日の広島戦、106試合目にして4番降格。その悔しさを晴らすための課題をシーズン終了後に語っていた。

 その一つが「空振りできる技術」-。

 秋季キャンプ前、甲子園で行われていた秋季練習中に大山にこんな言葉を投げかけてみた。「“当てる”ではなく、“当たってしまった”打球もあったのでは?」。例えば狙い球がストレートであっても、思わず変化球に反応してしまう。すると背番号3はこう返してきた。

 「それは確かにありました。自分ではファウルにしようと思った打球がフェアゾーンに飛んでしまったり。空振りしようと思っても簡単ではない。自分が不器用なので」

 一般人の感覚からすれば、プロのボールをバットに当てることは容易ではない。むしろどんな球でも捉えることができるのは、逆に言えば“器用”とも受け取れる。だが昨年の大山に求められていたのは4番のバッティング。力強く振り切り、勝負を決める一打をチームもファンも欲していたように思える。

 だからこそ「空振りできる技術を身につけたい。データを見ると、中軸を打っているバッターって空振りが多いんです。自分はその数が少ない」と課題を口にしていた大山。共同通信デジタルによると昨季の大山の空振り率は37・8%。規定打席に到達した他球団の4番を見てみると、おおよそ45%~60%の間で推移している。強打者は例え空振りしても、狙った球をフルスイングで確実に仕留め、ヒットゾーンやスタンドへ打球を飛ばしていることになる。

 昨秋から今春にかけて、その課題を克服しようとしてきたのは打席内容に表れてきている。中日戦や日本ハム戦で見せた外角球を力強く引っ張ってのクリーンヒット。さらに直球狙いのタイミングで変化球を豪快に空振りするシーンもあった。まだまだ他の打席では納得いかない凡打も出ているが、一歩ずつでも理想の打者に向けて前進している。

 ここからオープン戦、公式戦とピッチャーのレベルは上がっていく。そこで大山がどういう打撃を見せるか。今年の阪神打線を見れば、右打者の奮起がキーポイントになることが予想される。そこに成長した大山の姿があれば、安定したオーダーが組めるかもしれない。(デイリースポーツ・重松健三)

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