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【スポーツ】日本代表 森保一監督の「見守るスタイル」からの発展に期待

 12月28日にサッカーのU-22代表が同ジャマイカ代表との親善試合を行い、2019年の各代表カテゴリーの代表戦は終わった。準優勝に終わった1月開幕のアジア杯UAE大会から、前述のジャマイカ戦まで、A代表と五輪代表を兼任する森保一監督は全25試合(A代表23試合、五輪代表では2試合)で指揮を執った。

 迎える2020年は、U-23代表となるチームは東京五輪イヤー、A代表では現在戦っているW杯アジア2次予選を突破すれば、9月からはアジア最終予選がスタートする。兼任監督の誕生から1年半。来年の森保監督には、これまでの「見守るスタイル」のタクトからの発展を期待したい。

 「プレーのクオリティーをあげるのは互いの意思疎通をはかることが必要。コーチングするとか、コミュニケーションをはかることがすごく大切だと、本人たちが気づくようにしてほしい。あんまりやれやれと言って、結局、追い込まれた時にできないのはもったいないことなので」。6月の南米選手権(ブラジル)での取材中、指揮官が語った言葉だ。初戦のチリ戦で0-4と惨敗。失点を重ねていくにつれ、徐々に意気消沈していく選手たちに対して、ピッチサイドから森保監督が大きな声で鼓舞をしていた。ただ、指揮官としては「でもそこはあまりつつかないようにしています。自分たちで勝つためにどういう声かけが必要なのかと」と日ごろは自重していることだったという。

 追い詰められた時、うまくいかない時、選手たちがピッチ内で修正して立ち直ることを指揮官は理想としている。「(監督として)基本的なコンセプトは伝えないといけないですし、方向性は伝えないといけないですけど、サッカーって勝っていこうとすると、ピッチの中でどれだけ対応力を持って、修正力を持って選手たちが自ら問題解決していけるかが大事だと思う」と持論を語った。

 これは五輪世代中心で臨んだ南米選手権でのことだったが、経験豊富なA代表でもそのスタンスは変わらない。10月のW杯予選に敵地で行われたタジキスタン戦。自らのホームで開始から猛烈なプレスをしてきた相手に苦戦し、前半は0-0で折り返した。迎えたハーフタイム、1トップで先発をしていたFW鎌田大地(Eフランクフルト)とトップ下のMF南野拓実は、互いのポジションを入れ替えることを自発的に決めた。その時指揮官は「(前半の形のままでも)90分トータルしたら絶対勝てていたと思う」という考えがあったことと、2人がコーチを交えての意思決定をしていたことで「聞いて聞かぬふりをしました。練習では『どっちでも良い』と話していたんで」と試合後に苦笑いして明かしてくれた。成長への近道は、監督が掲げる戦術遂行を求めることではなく、プレーする選手自らが考え、対応力を高めていることだと考えているからだろう。

 ただ、五輪本大会やW杯アジア最終予選といったシビアな戦いが待つ2020年には、そのタクトの振るい方をさらに発展させる必要がある。年始のアジア杯・決勝でカタールに敗れ去った一戦では、戦術的なミスマッチを意図的に生じさせてきた相手への対応が後手後手となり、アジア王座奪回を逃した。A代表と五輪代表を合わせて数多くの大会・試合をこなしてきた2019年には、選手の派遣義務が発生するかなどの招集条件を考慮、選手の所属クラブに配慮をしながらチームを編成し、多くの選手を試すという手法をとった。「全体的な裾野のレベルアップをする。それを積み上げていけば、必ず高い頂点、強い頂点に結びつくという風に考えています」という考えが反映された一年となったが、2020年は広がった裾野をまとめ上げ、チームを高みへと導く決断、采配が求められる。

 まさしく勝負の一年。その振るうタクトの変化を注視したい。(デイリースポーツ・松落大樹)

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