【野球】名門野球部マネジャーがプロの審判を目指す理由

 プレーヤーとは別の形で、野球への夢を追う。師走のロッテ浦和球場。寒空の下、NPBが主催した「NPBアンパイア・スクール」に62人が参加した。14日から20日までの1週間。審判初心者から経験者まで、休日を返上した現役プロ審判員らの手ほどきを受けながら実技や座学で野球を学んだ。

 甲子園常連の栃木・作新学院でマネジャーを務めた黒鵜大陽さん(18)も、プロを目指す1人だ。同級生で同じくマネジャーとしてチームを支えた星秀幸さん(18)を誘って参加。ともに来年は大学に進学。「両親にプレーしている姿を見せたい」と選手としてもう一度勝負に挑む星さんに対し、進学先の国際武道大でもマネジャーを務める予定の黒鵜さんは「通いながら、(審判の)技術を上げたい」とプロ審判への固い決意を口にした。

 憧れは小学校の時から抱いていた。父・明さん(40)が少年野球の試合を裁く姿を見て、その存在が身近になった。加えて、プロ野球観戦の際に「かっこよさを感じた」という。上達へ、研究も欠かさない。NPBの岩下健吾審判員や青木昴審判員の映像で動きを観察。「構えがしっかりしていて、ジャッジにぶれない。構えがなっていないといいジャッジができないので」と口調に熱が帯びた。

 冷静に自身の立ち位置を理解している。中学までは選手として「通用していた」が、高校に進学し「現実を知った」。マネジャー転身後は練習試合で審判を務め、経験を積んできたが「審判も同じ。栃木では監督に『うまい』と言われる。だけど、こういうところに来てる人を見ると、自分はまだまだだなと」。容易ではないプロへの道を再確認した。

 スクールに臨むにあたり、父からは「やってきたことしか発揮できない。3年間の全てをぶつけてこい」と送り出された。戸惑いも発見も、そして何よりも憧れのプロ審判員からの言葉が糧となる。「マネジャーなので、大学でも練習試合で審判をやると思います」。あどけなさの残る18歳だが、その視線は真っすぐに夢へと向いている。(デイリースポーツ・野畑圭司)

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