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【相撲】霧馬山の新入幕“確定”を後押しした横綱鶴竜のアシスト

 横綱白鵬の43回目の優勝で幕を閉じた大相撲九州場所で、モンゴル出身の若武者、霧馬山(23)=陸奥=が新入幕をほぼ手中にした。霧馬山は西十両5枚目の番付で11勝4敗の好成績を収めた。4人が並んだ優勝決定戦では敗れたが「本割が一番緊張した。まだ(新入幕は)分からないけど、勝ってうれしい」と喜びに浸った。

 非凡な才能を持っていながら、その開花には度重なるけがもあって少々時間がかかった。それを一気に早めたのは、横綱鶴竜のアシストだった。鶴竜はそれまで所属していた井筒部屋の師匠(元関脇逆鉾)の死去にともない、10月から同じ時津風一門の陸奥部屋に移籍。九州場所は腰を痛めて2日目から休場したが、同郷の弟弟子を一人前にするための協力を惜しまなかった。

 霧馬山は言う。

 「横綱が部屋に来てから場所前まで毎日のように稽古で胸を出してもらった。それがありがたくて、自分はもっと頑張らなければと思いました」

 鶴竜の霧馬山“改造”の中心は体重増だった。130キロ前後の重さで重量力士相手に苦戦する弟弟子をかねてから気に掛けていたようで、移籍するなり「もっと食べるようにしなさい」と“指令”を出した。従来の食事が済んだ後にどんぶり飯3杯が“ノルマ”。どちらかというと食べるのが苦手だっただけに、最初は戸惑いを隠せなかったが、横綱の気持ちをありがたく受け入れて“食べる稽古”に精を出した。

 結果は早々と出た。体重は日に日に増えて九州場所前には自己最重量の140キロに達した。その状態で本場所に入ると、先場所までとは違う感覚があった。

 「前に比べて押されなくなったし、逆に押せるようになった。体重が増えるとこんなに違うものなのかと思いました。今までどうしてもっと食べなかったんだろう、もっと早くから食べていればよかったと後悔しました」

 鶴竜の“改造”はメンタル面にも及んだ。九州場所で勝ち越しを決めた12日目の木崎海戦の前にはこう言葉を掛けた。「勝ち越しとか新入幕とか考えてはいけない。一日一番の気持ちでやりなさい」。23歳の弟弟子はその言葉を胸に土俵に上がり、長い攻防をこん身のはたきで制した。新入幕をほぼ手中にした千秋楽の千代翔馬戦も、相手の変化にしっかりついていき、左のすくい投げで仕留めた。

 「場所中は毎日部屋に戻ると、横綱が自分の相撲を解説してくれる。どこがよかったのか、どこが悪かったのか、よく分かるから次につながります」

 これで来場所の新入幕はほぼ確実となった。霧馬山が何より喜んだのは、優しい兄弟子が横綱土俵入りをする際に露払いができること。「それが一番うれしい。横綱の土俵入りにお供できるなんて夢のようです」。鶴竜の恩に報いるためにも、これからもっともっと強くなる-。(デイリースポーツ・松本一之)

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