【野球】好調楽天の夏場以降の鍵を握る男 美馬学

 懸命にもがき、あがいた先にだけ、成長の道は開かれる。現在、リーグ2位の位置に着ける楽天。夏場以降の鍵を握る一人が、美馬学投手(32)だ。

 昨年8月に右肘の手術を受け、完全復活を期した今季。開幕から先発ローテを守る右腕にとって、ここまでの道のりは決して平たんなものではなかった。

 「調子自体は、投げるたびに良くなってきた。(17年に)2桁勝利を挙げた時よりも、確実に良い状態だと思いますから」と話す美馬。だが、4月30日のオリックス戦(楽天生命)で2勝目を挙げて以降、1カ月間、勝ち星から遠ざかった。

 要因は2つ-。エース不在の重圧と、状態の良さだ。3月に右肘を手術した則本昂、開幕戦で右太もも裏を痛めた岸と、楽天が誇る2枚看板を失っての戦いを強いられた。

 「自分に重圧を掛けすぎた部分はあります。でも、岸さんとかはその中で結果を出している。あらためてスゴいなと感じました」。

 左腕の辛島とともに、開幕から必死にローテを守り続けた。それでもチームを勝利に導けない日々が続く-。いつもは明るい美馬が「頭では分かっているが、なかなか切り替えられない自分がいる」と話すこともあった。

 もう1つは状態の良さが裏目に出たこと。「去年よりもはるかに調子がいい中で、力勝負をしてしまった。投球に丁寧さを欠いていたと思う」。力強い球を投げられる楽しさが、持ち味を失わせていた。ただ、そんな苦しい時間の中で美馬は光明を探し続ける。

 「球種自体をどうすればいいのか、配球も含めて考えられる時間になった」と球種の精度、そして使い方、すべてを向上させることに心を砕いてきた。

 5月24日・オリックス戦(楽天生命)以降、5試合で3勝0敗、1完投、防御率3・33。もがき苦しんだ時は着実な成果となって現れ、美馬も「自分にとっても成長できたと思います」と話す。

 5月下旬に岸が復帰し、球宴前後には則本昂も1軍復帰予定。美馬を含めた投手陣の踏ん張ったからこそ今があり、体勢が整いつつあるからこそさらなる働きが求められる。

 「ここからですよね。ここから頑張らないといけないと思います」。度重なる故障からも復活を遂げてきた、その“心力”をもって挑む本当の戦いは、ここからだ。

(デイリースポーツ・中田康博)

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