【スポーツ】五輪競技で唯一存続未定のアマボクシング 国際大会で男女2人が金

 2020年東京五輪のチケット販売が過熱している。その中で唯一チケットが発売されていないのが、両国国技館が会場となるボクシングだ。競技の存続が決まらず開催が定かではないが、世界の舞台では選手の奮闘が続いている。

 5月13日まで行われた国際大会の「コンスタンチン・コロトコフ記念国際トーナメント」では、男子57キロ級の堤駿斗(19)=東洋大=と女子51キロ級の並木月海(20)=自衛隊=が金メダルを獲得。日本は男女9選手が出場し、金2、銀1、銅3つを獲り、堤は大会MVPを獲得した。日本ボクシング連盟の内田貞信会長は「同大会は参加22カ国、五輪出場選手ら強豪がそろっていたので大きな勝利」と、手応えを感じている。

 4月のアジア選手権(バンコク)でも69キロ級で岡澤セオン(鹿児島県体育協会)が銀メダル、52キロ級で柏崎刀翔(福井県スポーツ協会)が銅メダルを獲得。国際大会での選手の躍進は、暗中模索が続く日本アマボクシング界にとって一筋の光だ。

 五輪開幕まで1年2カ月あまりだが、国際オリンピック委員会(IOC)は国際ボクシング協会(AIBA)の組織運営などを問題視して調査委員会を設置し、東京五輪の準備は凍結されたまま。22日のIOC理事会で調査委の最終報告を受けて改革を検証し、6月末に最終判断する予定で、それまで開催国である日本も五輪に関わるすべての活動ができない。両国国技館という最高の舞台が用意されながら、通常1年前に行うプレ五輪の開催要項や、五輪代表選考に関わる世界選手権(9月、ロシア)の代表選考会も正式には決められない。また、IOCのバッハ会長がAIBAの運営を問題視し、別団体に五輪の準備や運営を任せる可能性も言及するなど、組織そのものが変わる可能性も残されている。

 五輪開催階級も男子は正式発表されていないなど、流動的な要素が多い現状に、同連盟の菊池浩吉事務局長も「選手ファーストになっていない」と不安を抱えている。加えて、山根明前会長時の日本スポーツ振興センター(JSC)の助成金の不正流用などにより、日本オリンピック委員会(JOC)からは今年度の強化交付金の支給が止められた。五輪が決まれば、経験を積むための国際大会への派遣費用を捻出することも、今後の大きな課題となる。

 昨年9月に前体制から一新された同連盟だが、いばらの道は続いている。今は選手の活躍が唯一のエネルギーとも言えるだけに、内田会長は「五輪が開催されれば、メダルに届くところにいる選手は何人もいる」と期待を膨らませていた。

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