【スポーツ】紀平 トリプルアクセル3回成功ならザギ倒は可能

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが6日、カナダのバンクーバーで開幕する。日本からは男子が宇野昌磨(20)=トヨタ自動車、女子は宮原知子(20)=関大、坂本花織(18)=シスメックス、紀平梨花(16)=関大KFSC=の3選手がエントリー。特に女子は日本3人とロシア3人の熱い“日ロ決戦”に注目が集まる。フィギュアスケート担当の國島紗希記者が、平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(16)の対抗馬として期待がかかる好調紀平の現状に迫りつつ、今大会の展望を語る。

 日ロ対決の主役となるのは、当時15歳で平昌五輪を制した上に、秋田犬のマサルを飼ったこともあり、日本でも抜群の知名度を誇る女王ザギトワだろう。その対抗馬として期待されるのが、ザギトワと同じくGPシリーズ2連勝でファイナル進出を決めた紀平だ。

 紀平はザギトワと同じ2002年生まれ。ザギトワよりも約2カ月誕生日が遅かったために平昌五輪の出場資格を持たなかった。安定感を増すトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を武器に今季シニアデビューし、躍進を遂げている。

 デビュー戦となった9月のオンドレイネペラ杯ではSPで転倒がありながら今季世界最高点(当時)で優勝。GPシリーズデビュー戦のNHK杯では、SP5位からフリーで2本のトリプルアクセルを決め逆転優勝を果たした。続くフランス杯でもSP2位から巻き返し、2連勝となった。

 紀平とザギトワ。2人の初顔合わせは、紀平が国際スケート連盟公認大会でトリプルアクセルを初成功して優勝した16年9月のジュニアGPスロベニア大会という。ザギトワは3位だった。2度目は同年のジュニアGPファイナルで、紀平はフリー冒頭のトリプルアクセルを失敗し4位。ザギトワが優勝した。

 1勝1敗で迎えた3度目の対戦。ベストスコアのみを比較するとザギトワと紀平との間には約14点の差がある。ただし、紀平は今季SP、フリー合わせて3本のトリプルアクセルに挑んでいるが、全て成功はまだない。本人いわく「SPでトリプルアクセルの失敗の原因が新たに分かったりする。だからフリーで巻き返しができている」という。現状の点差は小さくないが、昨年の全日本選手権では計3本のトリプルアクセルを成功させた実績もある。全て完璧に決めることができれば、ザギトワにとって脅威となるだけのポテンシャルを持っている。

 フランス杯では時差ぼけの影響でジャンプの感覚が狂ったこともあり、今大会では早めに現地入りして体調を整え、昼寝も積極的に取り入れる意向。前倒しで調整を進め、SPからギア全開の予定だ。打倒女王へ、万全を期す。

 男子は羽生結弦(ANA)が欠場したため、平昌五輪銀メダリストの宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=と、昨季世界選手権覇者のネーサン・チェン(19)=米国=の一騎打ちが予想される。

 シニア4季目にして、はやくもGPシリーズ5勝を達成した宇野。過去3年間の成績から算出されるポイントで決まる世界ランクは現在堂々の1位だ。

 しかし昨年のGPファイナル、18年1月の四大陸選手権、2月の平昌五輪、3月の世界選手権と、昨季の主要国際大会は全て銀メダルに終わった。

 一方のチェンは今秋から名門エール大に進学。環境を変えた秀才スケーターが進化を見せるか。宇野が「シルバーコレクター」を卒業できるのか。注目だ。(デイリースポーツ・國島紗希)

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